青が消える。村上春樹の作品の中で、青が消えるんだ。青は光の三原色のひとつだから、青が消えたら白もクソもないじゃないか、と言われた。何故そんなことを言われたかは、もう問わない。勿論こんな奇怪な世界で奇怪でない者が珍しくないことを悟っているからだ。だが、違う。その質問は発される前から悪魔の問いだった。あれは比喩だ…政府に電話をした主人公はこう言われていた。いつか消えるものもある、と。