中原中也は、当時人々の拠り所であったサーカスの本質である安っぽさを捉え、また、その本質に気づいていようがいまいが、そんなものを嬉々とした様子で見る観客様は憐れであると詩を綴ったのではなかろうか。そして、その観客様の見せかけの非日常(また、それに被せたノスタルジア)に縋る姿は当時の時代を象徴するようである。その時代もまた甚いものであるし、縋れば縋る程、時代の闇は深くなるということにも憐れみを覚えている。