―――実は私、末期のガンなんです――――――
ジートリャは母親の告白に驚き、しばらく言葉を失った。
しかし、すぐに自分が何をすべきか理解し、母親に寄り添った。
「それは辛いことですね。でも、あなたは強い人だと思います。必ず乗り越えられますよ」
ジートリャはそう言って、母親の手を握った。母親はジートリャの優しさに感動し、涙を流した。
「ありがとうございます。あなたの言葉で少し勇気が出ました」
「いいえ、当然のことです。私はあなたを応援しています」
ジートリャはそう言って、母親とユミに笑顔を送った。そして、再びベンチに戻り、自分がやらなければならないことを考えた。
(まずはこの星の文明レベルを調べなければなりませんね)
ジートリャはカバンからノートパソコンを取り出し、電源を入れた。そしてネットを開き、検索を始めた。すると、あるニュース記事が目に入る。
――地球の周辺域で謎の爆発相次ぐ。亜空間遍在幕府は調査を開始。原因は不明。専門家によると、この地球で交わる平行世界で何らかのトラブルがあったのではないかとの見方を示している。現在、亜空間警察による捜査が行われている。
ジートリャはこの記事を見て確信した。この星には自分以外にも多数の宇宙人がいることを。
(これは調べる必要があるようですね・・・)
そう思い、ジートリャは再びパソコンを操作し始めた。
翌日、隆子は仕事を終え、家に帰る準備をしていた。
そこへママのカヨ子がやってきた。隆子はカヨ子に話しかけた。
「最近、僕の周囲で変なことが立て続けに起きてるんだけど、ママのまわりはどう?何か変わったことないですか」
カヨ子は何も言わず、隆子の顔をじっと見つめていた。隆子もカヨ子の顔を見ていたが、カヨ子の表情がいつもと違うことに気づいた。
カヨ子の目は虚ろだったのだ。
隆子は慌てて駆け寄る。
すると、カヨ子も隆子に飛びついてきた。
突然の出来事に驚く隆子。
そのまま床に押し倒され、馬乗りされる。
さらに両手を押さえつけられた。
抵抗するも全く歯が立たない。
すると、カヨ子が口を開いた。
――もう我慢できないわ――
その声は今まで聞いたことがないような低い声で、恐怖を感じた。
そして、隆子の顔を見据える。
その瞬間、カヨ子の目が赤く光り出した。
その光景を見た途端、隆子の意識は遠のいていった。