大学生あるある

2名無しさん
2024-05-06 10:15:14
ID:MXB4C.7g

内田樹

僕たちの場合、自分たちの敗北経験が前件としてあるので、つい「敵は強かった」っていう評価になっちゃうんですね。なにしろ、学園闘争が一気につぶされた後、かつての左翼学生たちは平然と中央省庁とか一流企業に入社しちゃったんですから(笑)。

「俺は1人になっても帝国主義企業には加担しないぞ」みたいな野蛮な強がりを言うやつってほとんどいなかった。革命戦士たちが屈折もなく産業戦士になっちゃった。そのときにしみじみ思ったわけですよ。日本の社会システムの「胃袋」は強靱だなって。過激派学生を排除するんじゃなくて取り込んじゃうんだから。まとめて産業戦士に仕立て上げちゃうんだから。恐れ入りましたって。

そのときに、こっちはこれから社会の隅っこで細々と生きていきますから、戦士の皆さんにはメインストリームをお任せしますよっていう感じでお別れしたわけですね。日本の官僚とか政治家とかビジネスマンっていうのは、なかなかしたたかなだなという認識の原体験になってるんです。

僕の知り合いに早稲田の革マルの人がいたんだけれども、しばらくして会ったら田中角栄の越山会青年部だった。びっくりして、どうしてなのって聞いたら、卒業したものの職がないとき、親から「角さんのところへ行って頼め」って言われて、元赤軍派の友だちと二人でいったら、「革命をやろうとはなかなか気骨があってよろしい」と肩を叩かれて、角栄さんがまとめて二人の就職の世話をしてくれたそうです。2人とも角栄さんに惚れ込んで、越山会青年部。これ聴いたときに、なるほど、日本のスタブリッシュメントというのは「食えない親父たち」だなって思いましたね。

名前:

メール欄:

内容:


文字色

File: