私からすれば、何故彼等が三人称視点で物語を描こうとするのか分からなかった。得意不得意向き不向きの差はあれど、決して安易に手を出していいものではないはずだ。少なくとも、青のベールを被る彼が、書くことに慣れていない彼が、ミスをするほど無理をする必要など何処にもないと言うのに。「さぁ、どうしてでしょうね」幻影を伴い私の前に躍り出た緑色の物体は、誰ともなく甘く囁いた。悲しげに呟いたその姿は、酷く侵しがたい。触れることすら烏滸がましいように感じられる。