2018/06/24(日) 23:06
「……そうだ、プロデューサーさん。聞きたいことがあるんです」
「なんだ?」
あんまり気にしてなかったことだけど、今更気になりだしたから……聞いてみよう。
「オーディションには、もっと大勢の女の子がいました。でも、合格したのは私だけ。なんでですか?」
―――参加してる女の子たちはたくさんいたけど、どれくらいの人数が……
「……うちの事務所、二人しか雇う余裕が無いんだよ」
「へ?」
結構予想外の返事だった。それはつまり、貧乏……
「社長が突然、事務所を休業しちまってな。俺含めて一部のスタッフ以外は、自主的にやめてもらった。所属アイドルもだ」
「休業って、なんで……」
「さあな。何も言わずに、だ。期間は三年ほどだった。最近再開したは良いが、また無名事務所からやり直しだ。
資金援助も中々受けられない」
芸能事務所って、大変なんだな……と思った。
こんな事務所で大丈夫なのかな……とも。
「心配するな。俺が二人を全力で売り出してやるから」
「は、はい……」
……そうして、大和プロデューサーと別れた私は、家に帰るのだった。