悪魔は刃向かわない
むしろ刃向かうのは人間。
悪魔はただただ待っているだけ。
誘惑に負けるのをひたすら待っている。
それは大口を開けた肉食生物に例えられるだろう。
ヤツらは人を誑すためならば何だってする。
現に、そのせいで私はもう負けてしまってる。
まあ、分かりきっていたとは言え辛いものだ。悪魔に喧嘩を売るのは。
こんなことなら村上春樹の『青が消える』に出てきたプレスティッジ・レコードに興味を示し、あわよくばそこに娯楽性を見つけ放浪の旅にでも出ていればよかった。
悪魔などという待ち受ける脅威に怯え続ける日々があんなにも続くとは思っていなかったゆえ、それは無理だったのだが…。