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あ
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私はその日、大学構内をチャリで快走していた。 二限が終わり昼休み、ひとりコンビニで飲み物を買って大学へ戻り、風になっていたのである。 ふと前方に目をやると、男子学生ふたりが手を繋いで歩いているではないか。しかもいずれもメガネの、オタク的風貌の持ち主である。 私は目を疑った。これが、いわゆる「仲良すぎて手を繋いじゃった☆」的女子のノリであろうか?だが彼らは女ではない。男である。しかも大学生である。そんなナイーブなノリが、大学という魑魅魍魎の巣窟で生き延びられるはずがないではないか。 私はひとつの結論に達した。これは、ゲイのカップルである。 なるほど、令和の大学は多様性に満ちている。私のような頭でっかちの青年が、なんの抵抗もなくその姿を受け入れているのも、ひとえに社会が寛容へと進化している証左であろう。 「大学で一般教養を学ぶというのは、こういう感受性を培うことに他ならぬ……」 私は自転車にまたがりながら、自らの成長に小さく胸を張った。 が、その矢先である。 彼らはゲイカップルではなかった。よくよく見れば、片方は女子であった。髪が短かっただけである。オタク男とオタク女、そして手を繋いでいる。すなわち、これは、、、 オタク同士のカップルである!! 一気にすべてが陳腐に見えた。 構内の風が止んだ気がした。 どうせあれだ、サブカルチャー研究会か、クイズ研究会か何かで出会って、初めての彼氏彼女で浮かれてるんだろう。((入学早々、私が“マジックサークル”なる一筋縄ではいかぬ妖しげな結社に、一ヶ月ほど在籍していたという黒歴史は、できうる限りこの身と共に墓場へ持ち込む所存である。)) 思わず、私は声をあげた。 「そこの女、男に見えたわ!ガハハハハ!!」 そして私は風のように去った。
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