せりなっ!やっ約束したからな!俺のためじゃないっなずなのために!
絶対に来いと父親は必死に声をかけていた。
「…おりゃぁ知ってんだ。俺をどんだけ嫌おうとお前はなずなには優しいんだ…!なずなで釣ればせりなは必ず来る」
「なーなずな……あれ?なずな?…なずなちゃん?」
………これで…これでいいんだ…
「離してなずな」
「あう~~あうあうおねーしゃん…いかないで…おねがいいかないで…おいてかないで…」
ふとせりなは溜息をつき、仕方なく少しの間だけ一緒にいることにした。
「おねーしゃん」
「…ん?」
「お空のおはなししてくらさい」
「…ヤだ。父さんがさっきしてたからもういいだろ…」
「はうっ!」
「……わかったよ…なずながパイロットね。じゃぁ目を閉じろ」
「あい」
それでいい…
----地上はどこまで行っても暗雲が続く。今日の探索は雲が途切れるところまで行く
そう決めていた。なんて無茶な人間だと目の前の乱雲があたしたちを嘲笑う、当然 飛行船はあっという間に荒らしに呑まれた
…ああもう駄目だ…あたし達はそう思った。諦めかけたその時抜けた……雲を抜けるとそこには当たり前のように青い空が広がっていた。空気もきれい
キャスフィだ!どこか降りれる場所を探そう。飛行艇の着陸態勢に入る!あたし達は高鳴る胸に心を躍らせ着陸を急いだ!アプローチングミニマム!チェック!
ランディング!30m 20m 10m
とう…ちゃく…
「帰ろっか…」
「なずな知ってるの…おねーちゃんおはなしだいすきなの」
「なずな知ってるの…ほんとーはおねーちゃんおとーちゃんがだいすきなの」
「なんだよ…」
「だからおねーちゃんほんとーはおとーちゃんとけんかしたくないの」
「…おねーちゃんいかないで…なずなもおとーちゃんもおねーちゃんといっしょにいたいの」