どうして、とも、何故、とも聞かない。答えは分かっている。
チャックは壊れた。
私達は暴動を起こした。
持てるだけの武器を持って、街のどこかへ走っている。行先は知らない。煙突と煙突のあいだを縫って、人の波に流されていく。
ふと、横を見た。
犬が走っている。電車が遠くに見える。
まだ間に合う。
私は走った。ひたすら、足を動かす事だけ考えて、走る犬に向かって。
犬を掴み、走る電車に跳ね飛ばされた。
…生きている。
犬は逃げた。初めて、初めて私が変えたこと。
「…あはっ」
ざまあみろ、と思った。やっぱり、とも思った。
「ふふ、あははは、あはははははは!!」
嗚呼、やはり神様はは残酷だ。
赤い、赤い血が流れる。
全て、全て同じだ。この暴動も全て計画されていたことで、それを国も知っている。
空の色は変わらない。ふっと、意識はそこで途切れた。
ー20xx年、日本全国で暴動が起こった。それは全て計画されたことで、全て政府は知っていた。
政府は適切に対処し、けが人・死亡者も居らず、全て無事に終わった。
同日。
1人のチルドレンが死亡した。
死因は電車との接触による出血多量。腕に犬の毛が残っていたことから、犬を掴み電車と接触したと見られる。
そのチルドレンの血液型によって、そこは、小さな赤い海のようになっていた。