「まず、自己紹介から始めようか」
先程突然窓ガラスをぶち破って登場してきた女に、俺は若干苛つきながら問いかけた。
「きゅ···窮奇···」
女が俯きながら答える。
「オリヴィエ。お前こいつの事は知ってるのか」
「名は知っている。確か翼の生えた虎のような姿だった筈だ」
「そうそう!!良く知ってるアルね!!」
女が先程と一転して嬉しそうにはしゃぐ。あぁ、こいつも魔物の類いなのか。
「で、窮奇さん。今日は何の用で人間界に来たんですか?」
苛ついた気持ちを抑えながら、出来るだけ丁寧に話しかける。
こんなにド派手に登場しやがったんだ。
まさか、オリヴィエの命を狙いに来た訳ではあるまい。
きっと何か他の用件があるんだろう。
「私、君達殺しに来たネ。君達殺して、世界滅ぼすアルヨ。」
とんだ馬鹿野郎が来てしまった。