一応>>15の流れの続き
「俺とオリヴィエで、必ず橘さんを守ってみせるよ」
俺はしっかり彼女の目を見据えて、こう言った。
橘さんは少し驚いたようにこちらを見ていたが、暫くしてまた目に涙を浮ばせ始めた。
「あぁだから泣かないでってば橘さん!」
また変にあたふたしながらポケットの中を探り、ハンカチを手渡す。
橘さんが受け取ったのを確認して、街の景観の方へ目をそらした。
景色を見つめながら、先程の自分の発言をもう一度振り返る。
····我ながら、なかなか大胆なことを言ってしまったかもしれない。
「必ず守ってみせるよ」なんて台詞、よくもまあスラスラと出てきたものだ。
何か、橘さんに変に見られてしまっただろうか。
今さら、後悔する。
「那綱くん」
「ひゃいっ?」
不意に名前を呼ばれて、思わず変な声が出る。
「ぷっ···何?ひゃいって」
笑われてしまった。あぁ、今日の俺はなんだか恥をかきっぱなしだ。
「···那綱くん」
もう一度彼女が俺の名を呼ぶ。
「···ありがとう」
···何でもないただのお礼の言葉の筈なのだが。
何でだろう、凄い破壊力だった。
照れを隠すため、俺はまた街の景観に目をやった。
ああ、非常にカッコ悪い。