「あ、れ?」
「橘さん?」
「今、なんか変な音が…」
屋上の扉が勢いよく開かれる。
「オリヴィエ!お前、授業…」
「歩、来るぞ」
ぱきん、と、何かの音がした。
「…へえ?分かるんだ、あたしのこと」
金色の瞳と目が合う。
その人間に似た何かは俺たちと同じ制服を纏っていたが、髪がまるで蛇のようにうねっている。
「橘さん!目を合わせたら駄目だ!」
橘さんの目を覆い隠す。
「あら、なかなか優秀な坊ちゃんね。そう、あたしはメデューサ!目を合わせた者は石になる!…まあ、どうやらそこの坊ちゃん、王子様と感覚共有してるみたいだしね?あたしの石化は効果なしみたいだけど、これなら、どうかしら!」
目を瞑っていた橘さんを蛇が攫う。
「手をだしたらこの娘を殺すわ。もしもこの娘を救出しても、あたしには攻撃できない」
「それって…まさか!」
「そう、お察しの通り!この体はあなた達の学園のものよ!力が少ないから全力の5割しか出ないけど、まあいいわ。あなた達なんて5割で十分ね」
そこまで言うと、メデューサは金色の目を歪ませて笑った。
「さ、かかってきなさいな」