「ぁああっ…くそっふぅっく、ゲホッ」
突如眩しい光が瞼の上から感じた。
目を閉じているから詳しいことは分からないが、どうやら私を人質にしたものは相当苦しんでいるようだ。
「あっ…!?」
突如体が浮いた。誰かに抱えられているみたいだ。
「なっ!?くそっ、逃げる気か!?橘さんを離せ!!」
「死んでたまるか…死んでたまるか…!!」
手が、震えている。とても怖い。私はこれからどうなるんだろう。どうすればいいんだろう。
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(sideメデューサ)
あの小僧からかなり離れた。ここまで来ると私とあの建物との糸が切れるが、今はそんなことどうでもいい。
死にたくない。ただそれだけだ。
あの小僧はまた別の機会で殺す。
あたしは一度死んだ身だ、2度も死にたくはない。あたしがもう一度息を吹き返したのも、全てはアノカタのおかげ。
「…ねえ、」
小脇に抱えていた小娘が、喋り出した。
「あなたは誰?」
「喋るな!!殺すぞ…!」
沈黙が広がる。
「ぐぅっ…!ゲホッ、ゲホゲホっ、かふ、」
ビチャビチャと黒い液体が落ちた。あたしの血だ。人のような皮膚が剥がれ落ちて、蛇の鱗が覗いている。嗚呼、忌々しいったら。
「ねえ、あなたは一体何の目的でこんなことをしているの?」
「……全てはアノカタの、『屑捨て場の王』ため…かつて人間界と魔界を震わせ、あたし達を蘇らせたもののために…
もう一度、この世界を滅ぼしてやる」
突如、また眩しいヒカリが降ってきた。
「見つけたぞ、メデューサ」
「なっ…!?そ、そんな、!」
2つの目が、あたしを見ている。
「橘さんを、返してもらう。」