「くふふっ…」
「どうする、ネズミ。メデューサが死んだようだぞ」
「問題ないわ、これも想定内。それに、中々役に立つものを残してくれたしねぇ…?」
ネズミの手には、まだ脈打つ心臓が握られている。
「くふっ、くふふふふっ」
「…相変わらず、趣味が悪いな」
「あら、趣味が悪いのはアナタも同等でしょ?蝿の王…いいえ、ベルゼブブ」
ベルゼブブはふっと息をはいた。
「それに、これも全て『屑捨て場の王』のおかげ。日本にも鶴の恩返しって物語があるでしょ?」
「お前はネズミだ」
「あなたは蝿ね」
ネズミは踊るようにくるくると回る。
「そうねえ、次は…そうだわ。あの子を送りましょう」
ボロボロに崩れた屋敷の奥には、ネズミの笑い声が聞こえる。