叩き潰す

362ノーマル◆G/VJPxflaA
2017-03-13 17:25:52
ID:KIFcsHO.

証明不可能な暗黙の了解のことを公理と言う。
すべての理論体系にはこのいくつかの公理が土台になっている。

証明されたわけではなく、飽くまで人間の直感的な要素が含まれているため、そこに絶対的な正しさはない。
そのため公理は何に置き換えても無矛盾な理論をいくらでも生み出すことができる。

無から理論を組み立てることはできない。
どんな理論体系にも必ず最初に公理が存在しなくてはならない。

このことから論理ですら公理のような暗黙の了解であると導き出すことができる。
ルイス・キャロルによる不思議の国のアリスにはこうある。

アキレスは、頭の回転の遅いカメに、
ある命題が論理的に正しいことを説明しようとしていた。

前提1 A=B である。
前提2 B=C である。

結論  A=C である。

アキレス「というわけだ。つまり、論理的にこうなるのさ」
カメ「ん~、わからないよ」
アキレス「論理的に考えたら、間違いなくこうなるだろ!」
カメ「ん~、なんで間違いなく言えるの?僕もそんなに馬鹿じゃない。A=Bはわかった。B=Cもわかった。でも、A=B、B=Cだったら、どうしてA=Cになるの?何の必然性もないじゃない。ちゃんと、説明してよ」
アキレス「だから、A=B、B=Cが正しければ、A=Cが成り立つんだってば!」
カメ「そんなこと どこにも書いてないじゃないか。そんな前提があるんなら、それをちゃんと追加してよ」

アキレスは、仕方なく、それを追加する。

前提1 A=B である。
前提2 B=C である。
前提3 前提1、前提2が正しいとき、A=Cが成り立つ。

結論  A=C である。

アキレス「どうだ?これでわかっただろ!」
カメ「ん~、やっぱりさっきと同じだよ。前提1,2,3はそれぞれ理解したよ。でも、それでなんでA=Cになるのかわからないよ。どうして?」
アキレス「だ・か・ら~、論理的に考えれば、そうなるだろ!」
カメ「どうして?論理的だからとか、そんなお題目はいいから、ちゃんと説明してよ」
アキレス「よく、みろよ!『前提1、前提2が正しいとき、A=Cが成り立つ』って、前提3で言っているだろ!」
カメ「なるほどね。前提1と前提2が正しいという条件が付けば、A=Cになるんだね。」
アキレス「そうだ」
カメ「じゃあ、そうするとさぁ~、前提1と2と3の全部が正しく成り立つときに、初めてA=Cになるって言えるんじゃないの?」
アキレス「う……。ま、まあそのとおりだが」
カメ「さっきと同じだね。そんなこと どこにも書いてないじゃないか。ちゃんと、厳密にやってよ~。それが論理的ということじゃないの~?」
アキレス「……………」

こうして、アキレスは、さらに
「前提1、前提2、前提3が成り立つなら、A=Cが成り立つ」
という新しい前提4を追加するハメになり、
それが永遠と繰り返されるのであった。

つまるところ、このルイスキャロルの物語は、「A=B、B=Cならば、A=C」という基本的な論理に対しても、
そうなるべき必然性などなく、それを論理的だと信じている人も結局は非論理的な部分に依存しているということを示している。

結局のところ論理性も本質的に公理と同様に証明不可能な前提のひとつである。
我々が行う論理的思考とは証明不可能な思い込みのひとつなのである。

人が初めて一つの理論を理解したとき、それは人間の感性によって飛躍を補われるということであり、裏を返せば、人が一つの理論に納得とき、人間の感性では補いきれない大きな飛躍があるということだ。

お前は1+1が2になることは当然分かっているが、これを正しいと示す方法はない。
まるで亀のように「それは全人類が計算ミスをしてるだけじゃないの?」とか「どうしてそうなるのか説明して」とか言われたらお終いだろ?

いつか、これを指摘したときお前は「それはお前の理解力がないだけ」と突っぱねた。
お前は既にそこで人間の感性に頼らざるを得なかったんだよ。

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