日本ラカン協会 立木康介・新理事長の挨拶 「目下、世界はCOVID-19という目に見えぬ無数の対象aに席捲され、 それとともに口を開けた現実界の砂漠に圧倒されています。」
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目下、世界はCOVID-19という目に見えぬ無数の対象aに席捲され、 それとともに口を開けた現実界の砂漠に圧倒されています。甚大な量の刺激に防壁を突破された状態にあるとフロイトが記述した心的装置にも似て、現実的なも のを受け止めるはずの象徴界はいま現代社会の至るところで麻痺し、破綻し、機能不全に陥っています。それが一方では、社会的症状の噴出(自粛や confinementという名の社会生活にかかわる制止、あるいは、とくに我が国の行政が陥っているとしか思えない集団的な知的制止──ただし、これは いま最も露骨な形で顕わになっただけであって、かねてからそこにあった症状です)や、抑圧されたものの大規模な回帰(スペイン風邪や大戦の記憶が想起され るのはもちろん偶然ではありません)として、他方では、象徴的なシステムの機能不全ゆえ、想像界がじかに現実界に晒され、作用を受けざるをえないことで生 じるすべての、ほとんど身体的といってよい動揺(自粛警察という名の攻撃性の暴発は、誤ったソリューションという意味でも立派なアクティングアウトです) として、姿を現すのでしょう。そしてそれらを通じて、現実界は、ラカンが述べたとおり、やはり同じ場所に回帰してきたのです──諸々の社会的紐帯を、した がってディスクールを、ここまでズタズタにするという、感染症に特有の場所に。
甲田烈「ブリュノ・ラトゥールという科学人類学者の概念に「アクター」というものがあります。たとえば、ラトゥールは『科学論の実在』の中で、細菌学者のパスツールが乳酸酵母を発見したことに触れつつ、初めからそういう存在があったわけではないのだと、そういうことを言ってるんですね。最初、実験していた中では、その存在はフラスコの中の何か点のようなものだった。だけど、色々な実験器具を使ってみたりだとか、科学雑誌にその点についての発見を出していったりだとか、それによって他の科学者から起こる様々な反応だとか、そうした様々なアクターの動きが絡まって、だんだんと形作られていった。乳酸酵母とはそういうアクターなんだというんです。その点、COVID-19というのもまた、まさにそういうアクターだという認識を僕は持っているんです。」
アクターネットワーク理論では、社会的、自然的世界のあらゆるもの(アクター)を、絶えず変化する作用(エージェンシー)のネットワークの結節点として扱う。このエージェンシー以外に、研究上の前提とされるものは何もない。ある社会的な現象に関わる要因はすべて同一のレベルにあり、アクターを外部から拘束する「社会的なもの」(社会的な力)が措定されることはない。
今のところ時速320kmで新幹線にはねられた人はいない。
だから、はねられた時にどうなるかよくわからない。
プラズマ化して不死身の体を手に入れられるという説もある。