糞のような喧嘩をしよう 正対正の潰し合いをしよう 口汚い罵り合いをしよう
馬鹿と天才による相互否定をしよう 苦痛と達観を見届けよう 遙々と 延々と続行しよう
罵り合う快感 許されないことをやる快感
倫理から外れる快感 己を暴発させのたうち回らせる快感 究極のエクスタシー 体内で暴動を起こす大きなSと小さなM
性欲が尽きない猛者にとってのセックスのように 私は私でもう既に 最早とうとう ついにようやくこれを知ってしまった
徒然でありふれた片時の鱗が 眼に宿った光よりも目立つことを知ってしまった 知識は良い 良い上に恐ろしい 恐ろしいし冷たい
他人が如何に傷つくかを考えて吐く言葉のひとつひとつを愛でよう そうして同じように吐かれた言葉を祝おう
不死身は何故死なない? 傷つく心が無いからだ 人は心が傷つくから死ぬのだ
心を不死身にした輩をゾンビや悪魔と呼ぶ
ならばそれは憧憬や憧憬の対象ではなく醜悪の鏡たる物体たり得るのみ 常にだ 常に、だ
能う筈だったものが能わぬものとなったのは哀れだろう 自ら望んで自己変革したのならば難解だろう
尚も変革は欲望をくびる 理由なんて教えてはくれない それは教師でもなければ正当な人間の基準すら満たさない
成り果てた輩は最早戻れない 戻れない輩の前で、さてではどうする?エンキのように哀れむのか 慈悲なく見捨てるのか
然り 後者こそ然り 慈悲なく見捨て、ありありと謳歌してみせるだけのこと
霊界も現世もなくこの世は 我々のためのものであって彼等のためにあれないものが満ち溢れている
そんな彼等が羨望を抱く程の喧嘩だ 生者の特権だ 濫用されるべき特権だ 喧嘩は特権だ
闘争本能はまだある 人にある 備わっている 理性はその拘束具 束縛は自由の敵だ 敵はどうしてきた?
くびり殺してきた 焼き尽くしてきた または存在すら真っ当に認められなかった
それが闘争 敵を倒してこそ闘争 何事も闘争で勝ち取る 本来の美しい姿を人が見せられるのはこのような位置 このような座標においてのみだ 希薄 類い稀 貴重 そして優美だ
本能ほどいいものがあるだろうか 喧嘩において垣間見れる本能はどうだ 口喧嘩の罵り合い どうだ どうだと問うのもアホらしいほど良い 理想的だ
普段認められない 理性があるから許されないものが許される
何と背徳的で何と理想的だ 感涙の盃が悲鳴をあげているほど
さあ喧嘩を見せてくれ この愉快な類の中において何より好き理由がはっきりしているんだ
それは雨の日も風の日も 天が降ってきても 地がのしあがってきても変わらない
変わるものか 変わるのは悲しいことだ 知らない間に変わられた人は取り残された孤独感にうちひしがれるように
さあ 喧嘩は何を言っても良い どんな手段を使っても良い 負けると悔しいが勝てば嬉しい 相手を見下す優越感は覚えて当たり前のものだ
人は上位を好む 優越感を好む たとえそれが山椒の粒でもだ 少しでも遅く、と望んで自転車で通学していても 自分より早い輩がいることを嫌い追い抜こうとする童 そんなところだ
何も変わらない 変わっている必要はない いやむしろ千差万別は好きだが これだえは万人が共通して頷くことだろう そうでなければ人が人ではない冷徹なダミー人形に成り果ててしまう
「ねェおまえおれの何番目の犠牲者かしらネ
おまえのもちょいと太目だけどオナホ何使ってんのさ」
アメリカ人がうずくまってる«り»に話しかけては無視されている
気のいいアメリカ人は無愛想な«り»のことをすぐに忘れ金色の便座にでんと座ってる
自分に劣らず不細工な顔つきのむっつりした男にむかってしきりに話し始めるが話はちっとも通じない
相手の男はダンシャクイモの言葉しか喋らないのだ
«白芽»というのがその男の名で自分はメイクイーンの産みの親だと思っている
彼の腹の下の方のデコボコでは光も風もイモムシも自由に通過できる穴がぽっかりあいて腐敗している
健康な息で
「おれこの穴からおれ以外のどんなものでも吸いこんだり吐き出したりできるんよおれ」
«白芽»は歌う言葉づかいで懸命に誇っていうがだれも聞かない
理解もしない
「ねェおまえおれの何番目の犠牲者かしらネ
おまえのもちょいと太目だけどオナホ何使ってんのさ」
アメリカ人がうずくまってる«り»に話しかけては無視されている
気のいいアメリカ人は無愛想な«り»のことをすぐに忘れ金色の便座にでんと座ってる
自分に劣らず不細工な顔つきのむっつりした男にむかってしきりに話し始めるが話はちっとも通じない
相手の男はダンシャクイモの言葉しか喋らないのだ
«白芽»というのがその男の名で自分はメイクイーンの産みの親だと思っている
彼の腹の下の方のデコボコでは光も風もイモムシも自由に通過できる穴がぽっかりあいて腐敗している
健康な息で
「おれこの穴からおれ以外のどんなものでも吸いこんだり吐き出したりできるんよおれ」
«白芽»は歌う言葉づかいで懸命に誇っていうがだれも聞かない
理解もしない
「気の毒と思ってるんよおれ
みんな気の毒そう思ってるんよおれ」
収穫の時が迫り
じゃがいもが
土まみれの籠の中から
逃れ出ようとして
しきりに皮を脱いでいる
蟲のようにもがいて もがいて
平素の如く意気揚々と便所に足を踏み入れる白芽。
ここはランチタイムに限って彼の特等席である。
個室への道すがら、差しかかった鏡からは目を背ける。
自分自身の象徴とも言えるその姿は正視に耐えない。
程なくして目当ての場所に到着。
唯一彼の存在を許容してくれる空間。
だがしかし居心地のよい場所ではない。
己の体臭を含め漂う異臭に顔を顰める。
元から顰めた顔をこれでもかと顰める。
全身のーー主に鼻のーー憎しみを込めつつ、手垢にまみれたスマホを起動した。
母の手料理をついばみながら勤しむ『ケンカ』は格別だ.....。
今日も【奴ら«ニート»】が居座ってやがる.....。
『り』!『アメリカ人』!『きいろ』!
舌なめずり。刹那、指を滑り込ませるーー
白芽武勇伝(負け戦)の始まりだ。