今回の実験によって示されたのは、まさに脳からの司令を拒否するのは可能だということである。ただし、後戻りできないポイントというのは確かに存在する。実験では、ボタンを押す約0.2秒前までならば、動作を中断、または拒否することが可能であったという。0.2秒を下回ると、ボタンを押す動作は止められなかった。
つまるところ、生体的な脳の決断後には、われわれの自由意志が入り込む隙があるということだ。脳は、現在の問題を素早くインプットし、過去の記憶や経験により形成された配線を通して、決断としてアウトプットする。脳が経験した過去の全てを知り得たならば、予測することが可能だろう生体的判断は、「意識をもつわれわれ」によって拒否できるということだ。
人の決断は、脳が用意する準備電位のなすがままではない。同チームは、これからより複雑な意思決定プロセスに関する研究を進める予定だという。