堂本香織です

315名無しさん
2022-05-11 07:29:06
ID:3wixM.u2(sage)

≪参考・引用文献(014)≫
 
「貴女に沈丁花を」作者名:水色瞳◆hJgorQc
https://ha天.net/novel/1589458260.html
 
 
解説はとても分かりやすくなっていた。

少女が要約したところによると、記録上の魔法の始まりは、数万年前の遺跡の陰から見つかった最高純度の『魔素』によって魔法の力が散りばめられた、ということだそうだ。
またその時、負の感情によって作られた魔素が魔王を、そして魔物を生み出した。

魔法についてはあまりに複雑だったため、また少女がそのちしきを全く持たなかったため、ネアは三回に分けて解説することにした。···つまり、アルストの一人損である。

「ごめんねー、ー······あ、えっと、名前···」ネアが謝ろうとしたところ、今更だが名前を聞いていないことに気がついた。

「名前···ですか。『人類最後の悪ふざけ』ですよ」

「長い。···私が決めていい?」

「えっ?······いえ、こんな私に」

「ねぇ、何で貴女は自分をそんなに下げるの?···私たち、もう友達なんだからさ。···それに、名前ないと、不便じゃん」


ネアの瞳が、言葉が少女の心を射抜く。照れ隠しなど、必要ないくらいに。

少女がうなずくと、ネアは「えへー」と聞こえてきそうな笑みで、

「スミレ。どう?いい名前でしょー」

と、これからの少女の名前を言った。

「良いんじゃないかな?」エインが微笑む。

「同じくです」リリーも肯定する。

「悪くないな。まあ決めるのは本人だが」ブロウはあくまで彼らしく言う。

「······なるほど」アルストも呟く。

「······それって」少女は、ともすると泣き出しそうになる心を抑えて言う。

「うん。この前さ、いろんな花の意味教えてくれたでしょー。だから、私は···」

そうしてネアは笑顔のまま、「貴女に、この名前を授けるよ」。


スミレの花言葉は、「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」。

少女は──スミレはこの時、花が好きで良かったと、心から思った。

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