堂本香織です

63名無しさん
2022-03-27 18:30:13
ID:pRhHOYu.(sage)

≪参考・引用文献(004)≫
 
「とくにない。」作者名:素直◆FjrZdTFW8M
https://rakuen.jeison.biz/novel/read/?404
 

冒頭二話は死刑囚・麻原彰晃の脱走譚と元オウム真理教幹部土谷正実の脱走譚。両者は「雨」というモチーフでつながっている。その「雨」があがった後、俳優・加藤剛の息子加藤頼と夏原諒というこれまた実在の人物の奇妙な関係性が描かれる。
 
第三話 爬虫類
 
本日、赤光日。
連日の雨の影響により雨水の被害は甚大だった。
各地で土砂崩れが起こり、河川の氾濫、が相次ぎ、多くの被害が出ていた。

雨が明けた晴れの天気。
とある河川敷で、いかにも泣きべそをかいた大人がいる。

加藤頼「ふ、ふええ」

見かねて夏原諒が千鳥足で向かう。夏原は二日酔いだった。

夏原「ふへーここでもバックフォーター現象が起きてるがや」

加藤「何言ってんだこいつ」

夏原は野球にはまっている。
河川敷といえば野球。
子供の時よく河川敷で野球をしていた。

夏原「野球好きか?」
加藤「WBS?」
夏原「WBCな」
加藤「どうやらお互いの話に齟齬があるようだ」

実は加藤は夏原諒を神格化している。
ほかの俳優と鑑みて夏原は理想的だと思っているからだ。

夏原「神格化って、今会ったばっかやがな」

加藤「いやオレお前のこと知ってるし」

夏原「俺はお前のこと知らんわ、何お前、こわっ」

加藤「来てくれると思った」ぺろぺろ

加藤は舌をペロペロして誘惑した。
夏原は恐怖を感じ、身を震わせる。
とっさに足を後ろに出しジリジリと後退する。

加藤「え、なんで逃げるの」

森でクマに遭遇したらどうするか。

背を向けて走って逃げるのは論外、死んだふりもリスキーだ。
目を合わせたままじりじりと後退するのがセオリーだろう。

今まさに夏原は熊に遭遇した時の方法を実践していた。

しかし、夏原は二日酔いのため、つい千鳥足になってしまう。
千鳥足で後退している状態だ。

加藤もじりじりとこっちににじり寄って来た。

千鳥足で後退する夏原。
にじり寄ってくる加藤。

夏原「この状況はまさにバックウォーター現象だ」

加藤は目を回した。千鳥足の夏原と睨み合っていたせいだろう。
すると加藤も千鳥足になった。

夏原「今のうちだ!」

夏原は千鳥足で走った。

加藤も走って追いかけたが、何もない場所でずっこけた。
千鳥足に慣れてないせいだ。

夏原は逃走に成功した。

加藤は小さくなっていく夏原の背中を見ながら舌をペロペロさせていた。

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