第一話は素直氏の「爆弾魔」と同様に作者と同一人物の「私」が死ぬ話ですが、ここでは“作者＝自分”は三人称「戦艦三笠」として描かれています。一人称でなければ「私小説」ではない、というようなことはもちろんないのですが、「爆弾魔」と違って、この作品には小説的な仕掛けは一切なく、徹底的な自虐を通した悪意のメッセージが横溢しています。第二話で「小説」という形式を採ることの無意味を悟った作者は、路線変更という「メタメッセージ」自体を小説とし、第三話では、小説の形式をはるかに逸脱した手法で実在の個人に悪意のメッセージを送っています。なんというリアリズムでしょうか。是非、参考にさせてください。