この小説の主人公は、『晒しの楽園』の喧嘩師にして成済師の「よしお」です。しかし、彼は喧嘩思想や喧嘩文学において最も重要な人物のひとりですが、ここではそのことには言及しません。
第一話の「ブチコワレロ」は、いきなり「現実界」に渦巻く「純粋質料」の描写からはじまります。
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漆黒 それは 昼間も常に、人の心の内に在る
「やいやい。貧乏人のくせに学校に来るな」
「そうだそうだ」
「お前の家を燃やすぞ糞奴」
「僕が何をしたっていうんだ」
「うるせぇ、死ね」
鈍い音。殴打され、視界 歪曲すること180°
「がっ」
更に世界 反転すること二回
「……殺す気か」
「お前なんか死んだってな、誰も悲しまないさ」
「そうだ、死ね」
「死ね」
「悪党どもが。卑劣だ。愚鈍だ。強欲だ。」
「あ?」
「何だって?」
「どうしても死にたいらしいな」
「……………………」