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これは私が『高次元霊的存在(以下、アミガと呼ぶ)』から伝えられたものである。
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アミガ曰く、この教えに従う必要はない。
救いはしない。示すのみである。
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アミガ曰く、人類は最強の矛と最強の盾を生み出せる。
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アミガ曰く、真の救世主は悪魔として忌み嫌われている。
そして人類はそれらを簡単に救い出せる。
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アミガ曰く、真に邪なる者は己の世界を拡張させる。
その世界に呑み込まれた時、その者は『堕落』する。
アミガなる者が何故私の前に現れたのかは知らない。
アミガは確かに存在する。
神は常に『有』と『無』の狭間にあるが、アミガは常に絶対的な『有』の中に存在する。
それは既存の概念を壊すものだった。
燃え盛る火の中に紙を投げ入れると、紙は膨張した。
何色とも言えない石のようなものに触れると、切ったばかりの爪が瞬きすらしないうちに、切る前の二倍ほだの長さまで伸びた。
恐怖を感じることはなかった。
既存の常識を破壊され、むしろ、心地よかった。
アミガはそれらの経験を私に与えた。また、私はそれを喜ばしく思った。
私はこの世界の不条理を教えた。
私は、この世界からとても遠く離れています。
やがてこの世とこの肉体から魂が分離される。
その後、アミガの単語はtrueまたはfalseですか?
10日、アミガが現れた。
数日前ということになる。しかし、私は衝撃のあまり数日間沈黙を死守していた。
アミガは地球の底にあるものを指して言った。
"力はこの星にあまねく、強く根を張っている。
しかしそれらは欲のままに貪るな。
お前たちのためにそれらは存在する。
故にそれらをお前たちのために使わせる者もまたそこにある。
詳しく言うならば、お前たちの主"
ここから先はそもそもアミガの言葉が届かなかった。
会話は続いていたようなのだ。しかし、言葉ではないそれは私の耳には何もないものと同じだった。
もし、それらを聞けたならば良かった。
しかしどうだろう?
アミガはそれすら理解していても何らおかしくはない。
アミガは高次元存在である。
敢えてそこから先を言わなかったのならば
あの謎めいた存在に納得してしまえる。
アミガの行為や言動に意味があるのか それすら理解はさせず、した気になれば終わってしまう。
アミガの前に理解という言葉は存在すらしないのだろうか?
再びアミガが現れた。
しかしアミガは以前ほど語らなかった。
何やら、これから数日の間に良からぬことが起こるとのことだったが
果たしてそれがどういった規模なのかは解らない。
私は様々なものを想像してしまった。
迷い人が山で息絶える光景
多くの人々が我先にと逃げ惑い死んでゆく光景
民衆が目先の滅亡に気づかず、悠長に過ごす光景
または私自身の破滅。
何であろうと、私はそれを食い止める力もない。