このスレはRPGスレのスピンオフ作品を書くスレです。
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~day1~
「…ここは…?」
俺は、何も覚えていなかった。
まっさらだった。
目の前に男が現れる。
「君は…何も覚えていない。何も感じない。」
俺はコクリと頷いた。
「何もかも、無くしたのだ…。」
「意味が…欲しいか?」
俺はまた、ゆっくりと頷いた。
彼は空中に光のように輝く魔法?で
"Flynn"(フレン)
という文字を浮かべた。
「新しい君だ。」
彼が掌を此方に向けると、後ろに闇のように禍々しい色をした何かがあった。
俺が彼に目を向けると頷いた。
飛び込め、ということなのだろうか。
俺は、そこに意を決して体を通した──。
俺は、真っ白な、まるで今の自分のような会議室?のようなところにきた。
そこには一つ可笑しいところがあった。
椅子が異様に高い。
まあそうはいっても椅子を見上げているのではなく、その椅子から見下ろしているわけだが。
全員が着席し、暫くすると他の仲間が語り始める。
「哀れ 心無き我らは心を集める。怒りの剣は心を解き放つ。心は闇に集い やがて魔王は蘇る。主を無くした人の心が織り成す魔王。我らは魔王とともに完全な存在となる。」
~days300~
──今日も俺は時計台の上でアイスを食っている。
「今日で300日目か…。」
「なんだぁそりゃあ。」
親友のレアは言う。
そう、
「俺が機関に入ってから、今日で300日目なんだ。」
「意外と早かったな。」
レアは食い終えたアイスの棒を持ちながら言った。
「日数なんか覚えてたのか?」
「俺、機関に入るまでの記憶、なかったろ?最初の何日か、ずっとぼーっとしてたし。」
「それからの事だけは、絶対忘れたくなかったんだ。」
レアは俺の肩に手をついてこういう。
「最初の一週間くらいは、ろくに話もできなかったし」
「まあぼーっとしてんのは今でも変わらないけどな。」
「ひどいなあ!」
「「ハハハッ」」
「なあ、夕陽って、なんで紅いのか知ってるか?」
「そういえば、考えたこともなかった。」
「光にはいくつか種類がある、そのなかで最も届く光が赤色だからなんだってよ。」
「どうしてレアが得意気なんだよ」
「ヘヘッ」
レアは得意気そうに親指で自分を指す。
「それにしても遅いな。」
──アイツを待って、数分が経過する。
最近来てないけど、いつ来るんだろう。
これから起きようとしている奇妙な運命は、
──フレンが機関に入って7日目のあの日から始まっていた。
~days7~
「本日は記念すべき日となる。」
機関のリーダー、「zeros(ゼロス)」が言う。
「我々に新たな仲間が加わることとなった。」
フードを被った少女が中心の円壇に立つ。
「14番目だ。」
俺は、その少女の目に診られたとき、既に感じていた。
奇妙な運命を、そして、自分と似ていることも。
生まれて7日目。フレンという名前と13というナンバリングだけが俺の全てだった。
──だから、みんなが何者で何をしようとしてるのかも、俺にはまだわからなかった。
~days8~ ご褒美
「しっかりやれよ、リア。」
NO.7 「アイザ」。
彼は7番目ながらに重要な役割に就いている。
もしかしたらナンバリングはそんなに関係がないのかも知れない。
「ああ、しっかりお役目果たしてくるわ。」
NO.8 「レア」。
彼は剽軽な性格とは逆に、本来の自分の使命は真剣に考えている。
「行くぞフレン。」
「ん、どうした?」
どうした、と言われても自分に似た機関員がずっと此方を見ていれば、誰でも気になる、と思う。
「アイツのことが気になるのか?」
「アイツは確か…「NO.14 マーフィだ。」
アイザはレアが思いだそうとしていることを言った。
「シオン、か。」
俺は顔を見ようとしながら名前を呼ぶ。
「シオン──」
「覚えたか?フレン。」
「ああ。」
「じゃあ、俺の名前は?」
「─アクセル。」
「俺たちのボスの名前は?」
「ゼロス。」
「…ま、忘れるはずねぇ、か。」
「じゃあ行こうぜ。」
レアはそういうとあの闇のように禍々しい回廊、どうやらそのまま闇の回廊らしい、それを開く。
──初めての任務を終えたフレン。
レアは直ぐには帰還せず。
フレンをあの場所へと連れる。
ここは時計台、というらしい。
ここからはトワイライトタウンの全貌を望むことができる。
「ほら、ご褒美だ。」
俺はアイスを渡される。
綺麗な空色をしていた。
「このアイスの名前覚えてるか?」
「ええっと──」
レアは横でガックリとした。
「「seasolt」。前に教えただろ?ちゃんと記憶しとけよ。」
「しょっぱい…でも、甘い。」
「ハハハッ。フレン、お前この間も同じこと言ってたぞ。」
「そうだっけ、よく覚えてないや。」
「そういえば、お前が機関に入ってもう一週間か?」
「そうかも。」
「かもって、そんなことも覚えてないのか?」
レアは俺を肘でつつきながら言う。
「まあお前もようやく機関らしく任務に出られるってわけだ。」
「機関のメンバー…」
「そういう意味じゃ、今日が始まりみたいなもんかもな。」
「始まり…か──」
──今日から機関のメンバーとして毎日任務を受けるようだ。
まだ何をしていいのかよくわからない。
~days9~
フレンは任務中に魔物という存在を知ることとなる。
任務に同行した機関員のNO.11ガルシアは魔王より産み出されると言われる魔物の心を回収し、魔王を復活させることが機関の目的であり、フレンの持つ心を解き放つという能力を持ったスタンド、「ハート・トゥ・ハート」にしかできない特別な事と語る。
──機関の目的は、魔物を倒して心を魔王に集め、再び死の世界から呼び戻すこと。
それが何で、何の役に立つのか。
心がどうしたのかもわからない。
~days10~ 存在しないもの
機関員は心無き者であるが故に不完全であり、心を求める。
NO.6エレーナはそのためにどんな手段をも使うのが機関だと語る。
機関員は心が織り成す魔王と融合することで完全な存在になろうとしているらしい。
存在しないもの…心無き者…。
俺たちは、心無くして生まれた。
心がなきゃ、それは存在してないってことなのか。
~days11~ ハート・トゥ・ハート
任務に同行したNO.12ライラはフレンがスタンド使いであることを心よく思っていないようだった。
ライラはフレンにスタンドを使わせない訓練を言い渡す。
スタンドを使わない訓練をさせられたことで改めてスタンドの有効性を知ったフレンだったが、自分だけがスタンドを使えることへの疑問は深まっていく。
──俺のスタンドである「ハート・トゥ・ハート」は心を解き放つ。
そんなもの、どうして俺だけが使えるんだろう。
色んなことを覚えても、解らないことが増えるだけだ。
~days13~ 戦いの意味
NO.5レキシコンは任務で頼れるのは己の力のみとフレンに語った。
フレンはこれまでに機関の命令に従ってきたが、スタンドは使えるのは自分の力、自分にしかできないことと自覚しはじめていた。
それは機関の為になるとレキシコンは言う。
──まだわからないことは多いけど、これからも自分の存在のために闇と戦う。
~days14~ 友だち
フレンとレアは任務中、トワイライトタウンを駆ける人影を見つけた。フレンは問う。
「今のは?」
「今のはって、この町の子どもだろ?」
「ふぅん─…。」
「みんなあんな風にするものなのか?」
「あんな風にって?」
「ああやってみんなで駆けたり、あと騒いだり。」
「そりゃ、心があれば誰だってそーするんじゃないか?」
「心…」
「俺たちもアイス食うか?」
「どうして?」
「どうしてって、そりゃあ…友達だからさ。」
「友達…」
「友達ってのは、一緒にアイスを食べたり、くだらない話をして笑ったりする。例えば、さっきのみたいにな。」
「ほら、行くぞ。」
俺たちは任務を終え、時計台に登った。
夕陽が輝いている。
レアはこういう。
「なあ、次の任務が終わったら、また一緒にアイス食わねーか?」
「毎日任務と城の往復じゃつまらないだろ。」
「そうだな。」
「友達…か。」
~days22~ 残された者
いつもの時計台。
レアは少し寂しげだが…どうかしたのだろうか。
「しばらくこのアイスも食えないな。」
「えっ?」
「明日からしばらく、ここに来れないと思う。」
「そうか──。」
「お前は友達だから言っとくけど、"挫忘の城"へ行くことになったんだ。」
「挫忘の城?」
「機関はもう1つ、狭間の世界に城をもってる。」
「それが挫忘の城だ、記憶したか?」
「そんなところがあるのか。」
「今日は先帰るわ、いろいろめんどくさい準備ってヤツがあるからな。」
レアが帰ったと同じ頃合いにアイスが食べ終わった。
"あたり"
~days23~
俺は挫忘の城へ向かおうとしていた。
その途中、アイザに呼び止められた。
「レア」
「なんだ?」
「ゼロス様からの伝言だ。」
「挫忘の城に行ったメンバーに、裏切り者がいる。」
「…本当にそれ、ゼロス様からなんだろうな?」
俺はそれを頭の片隅におくと、挫忘の城へ向かった。
~days23~
「レア!」
俺は昨日のアイスに"あたり"と書いてあったので渡しに来たのだが…?
そこにアイザが通りかかる。
「レアなら、もう行ったぞ。」
「これ、どうしよう──」
~days24~
俺は今日も任務に行く。
ちょうど俺がロビーに来たころ
「うるさいヤツらがいなくなってすっきりしたよな?」
とNO.9デミィ。
「うるさい奴らって?」
「挫忘の城に行ったヤツらのこと。」
挫忘の城のメンバーって、どんな奴らなんだろう?
NO.2ブライアンは言う
「そういやぁあんたとぷーちゃんは挫忘の城の奴らとはそんなに関わっていなかったな。」
「ぷーちゃん?」
「マーフィのことだよ、boy。」
「ボーイって…」
その会話に水を差すように
「フレン、任務だ。」
とアイザ。
──任務が終わった。
今日もあそこへいこう。
「今日も俺は寄るところがあるんだ。先に帰還してて。」
「フ…レン。」
「えっ?マーフィ─」
「フレンって、呼んでいい?」
「ああ…。」
そういうと、彼女は去っていった。
俺は今日も時計台の上でアイスを食べながらあの事を考えていた。
「フレン、かぁ。」
~days25~
今日もマーフィとの任務だ。
「フレン」
彼女は、途中でフレンを呼びとめ、目深く被っていたフードをとった。
「今日も頑張ろうね」
何かその顔には懐かしさが感じられた。
「あ、ああ。」
「行こう。」
──今日はダークジャイアント、という魔物の討伐だった。
その魔物はとても利口で、スタンドは呼吸ができなくなれば使えなくなるのがわかっていた。
俺は首を捕まれ、スタンドのビジョンが薄れてゆく…
息が絶えようとしていた時──
「はぁっ!」
彼女から、マーフィからスタンドが出ていた。
どうやら俺と同じ人形タイプのものらしい。
能力は天に登ってゆくハートが表している。
俺と同じだ。
「驚いた。」
「マーフィも、スタンドが…使えるんだな。」
「あ、あたしも。びっくりしちゃった。」
「ハハハッ」「フフフッ」
「じゃあ、マーフィにご褒美だ。」
「え?」
「特別な場所。」
俺は時計台に、彼女を導いた。
「こんなところがあるなんて知らなかった。」
「はい、これ。」
「seasolt。」
「食べてみて。」
「うん。」
「甘くて、しょっぱい。」
「でも、おいしいだろ?」
「いつも任務が終わったら、ここで食べてるんだ。」
「いつもはレアがいるんだけど、挫忘の城にいってるから、最近は一人なんだ。」
俺は一口食べてから言った。
「レアが好きなんだ。」
「フレンも好きなんでしょ?」
「うん。」
「機関に初めて来たとき、レアとここで食べたんだ。」
「レアがご褒美だって、食べさせてくれた。」
「さっきのフレンみたいに?」
「ああ。」
「二人って仲がいいんだね。」
「レアは友達だから。」
「友達─」
「あたしも友達になれるかな。」
「レアが戻ってきたら、三人でアイスを食べよう。」
「うん。」
~days26~ 消滅
「挫忘の城で、何かあったらしいけど」
「お前には関係ない。」
アイザは口を固く閉ざし、話そうとしない。
「レアは?」
「さあ、消滅したかもしれないな。」
俺はショックを受けた、もう戻ってこないんじゃないかと。
──今日も俺は任務を遂行する。
だが、なんだか気分が滅入っていた。
同行していたブライアンに問った。
「なあ、ノーバディが消えたらどうなるんだ?」
「何も残らない。」
「何もかも?」
「ああ、何もかも、跡形なく、な。」
「消えたら、もう会えないってことなのか?」
「その通りだ。」
ブライアンは闇の回廊を開き
「帰るぞ」
と呼び掛ける。
「え、ああ──」
「うっ!!」
短い悲鳴をあげた直後、鋭くて激しい痛みが俺を襲う。
「なんだ…これは…」
俺の脳裏には、レア、マーフィ、謎の少女が過った。
~days75~
ゼロスは語る。
「時は満ちた。」
「魔王がついに、遺体を現す段階にまでに力を取り戻しているのだ…」
「魔族を束ねる長ともいうべき存在…魔王。」
「魔王の復活により、世界は征服され、私たちは心を手に入れるであろう。」
「諸君ッ 我々は、魔王の復活のため、魔王と一つになるためにここに集ったのだということを忘れてはならない。」
フレンとマーフィはいつも通り、任務を遂行していた。
そして、いつもの場所へと向かう。
~days113~ 休暇
任務が日常となっていたフレンは、今日は休暇だという紙が張り出されていたことに関して疑問を抱く。
(休暇ってなにしてたっけ?)
フレンは任務が日常となっていたので何をすればいいのかわからなかった。
あてもなく城の中を歩き回るフレンは意外な人物とであう。
「よぉ、フレン。」
「レア!?」
「久しぶりだな。元気してたか?」
「あ、ああ…」
何故か、挫忘の城については聞けなかった。いや、聞いてはならない気がした。フレンの直感がそう言った。
「な、なあ、休暇って何をすればいいと思う?」
「うーん…俺は、寝る。」
「寝る?」
「時間がもったいないだろ。」
「うっせ、お前らとは違って、その…疲れてんだよ。」
「うーん…。」
俺は、マーフィにも訊いてみたのだが、なんだかどれもしっくりこない。
いつもの場所に行こう──
~days149~
いつもの場所にて
「よぉ、フレン。」
「え?いつの間に帰ってきたんだ?」
そう、レアは長期間の任務にでていたのだ。
「ついさっき…な。」
「…?マーフィ?」
レアは我ここにあらずと空を見ているマーフィを不思議に思った。
「あ、う、ううん。何でもない。」
(…あいつ……私が…。)
~days150~
マーフィは、任務中、またもや彼に出くわした。そして戦うも負けた。
あの白髪に目隠しを着けた黒コートに。
フレンは、任務から帰還し自室へ戻ろうとしていた。
「もう一度、お願い。」
マーフィが、何かをアイザにたのんでいた。
アイザは断る。
「ダメだ。あえて言おう、負けたのは、お前のスタンドがカスだっただけのことよ。」
俺はアイザが上がったのを見て、呼び掛ける。
「マーフィ?」
俺はいつもの場所に行く。
「マーフィ、遅いな。」
「きっと、アイザに罵られたことに傷ついてるんだ。」
「…お前が励ましてやったらどうだ?」
レアは言う。
「励ます?どうやって励ませばいいんだ?」
「うーん…。任務に付き添ってやる、とか?」
「あ…ああ、やってみるよ。」
~days152~
3回目の敗北。
いつもまるで目を隠していても見えているかのように身のこなしが軽い。
あたしはフードで覆っている顔を見られた。
「!? あんたは何者だッ!?なんで機関と偽る!?」
「?…あなたこそッ!何故機関を装うのッ!!」
「はぁぁっ!」
「せいッ!」
「悪いことは言わねぇ。早くアイツらの元から離れな。」
「あなたこそ偽りじゃないの?」
「確かに、俺のほうが本来存在しないものかもな。」
「くっ……。」
~days155~
マーフィの名を呼んだ日以来、フレンは孤独だった。
一人でアイスを食べていた。
そして、一人で任務をする日々が増えたような気がした。
全く、奇妙だと感じた。
~days189~
フレンは、マーフィが意識不明だと聞いた。
アイザはあんな駄作のことは放っておけ、というがフレンはマーフィの親友だ。
フレンはアイザを押しのけマーフィの元へ向かう。
マーフィは眠っていた。
もう起きないんじゃないかとも思った。
─俺には毎日ここにくることしかしてやれない。
自分自身の無力さを痛感した。
~days220~
フレンはいつも通り、任務を終えるとマーフィの見舞いに行く。
マーフィは、突然目を見開いた。
フレンは驚きと喜びが混ざる。
「マ、マーフィ?起きても大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。」
「あたし、どのくらい眠ってたの?」
「えっと…1ヶ月ぐらいかな。」
「…。」
「マーフィ?」
「う…ううん。なんでもない。」
「そっか。まだ安静にしてるんだぞ。」
「うん。」
フレンは部屋から出た。
(…あたしが…あたしじゃなくなる?)
~days252~
俺はいつもの場所にいた。
二人共、なかなかこないなぁ。
「よぉ、フレン。」
「レア。」
「なあ、マーフィのことだけどさ。」
「…ああ、マーフィが起きたって聞いたぜ。」
「そうか。」
「…なあ、心が無いって、なんなんだ?」
「え?そりゃあ感情がないってことだろ?」
「じゃあ、感情がないのにどうしてこんなにも辛いって感じるんだ?」
「それは…。」
「なあレア。俺たちには本当に感情は…心は無いのか?」
「わからねぇ。」
~days300~
──今日も俺は時計台の上でアイスを食っている。
「今日で300日目か…。」
「なんだぁそりゃあ。」
親友のレアは言う。
そう、
「俺が機関に入ってから、今日で300日目なんだ。」
「意外と早かったな。」
レアは食い終えたアイスの棒を持ちながら言った。
「日数なんか覚えてたのか?」
「俺、機関に入るまでの記憶、なかったろ?最初の何日か、ずっとぼーっとしてたし。」
「それからの事だけは、絶対忘れたくなかったんだ。」
レアは俺の肩に手をついてこういう。
「最初の一週間くらいは、ろくに話もできなかったし」
「まあぼーっとしてんのは今でも変わらないけどな。」
「ひどいなあ!」
「「ハハハッ」」
「なあ、夕陽って、なんで紅いのか知ってるか?」
「そういえば、考えたこともなかった。」
「光にはいくつか種類がある、そのなかで最も届く光が赤色だからなんだってよ。」
「どうしてレアが得意気なんだよ」
「ヘヘッ」
レアは得意気そうに親指で自分を指す。
「それにしても遅いな。」
──アイツを待って、数分が経過する。
最近来てないけど、いつ来るんだろう。
~days336~
「マーフィの様子はどうだ。」
「恐らく、失敗だ。可能性は予想以上に自我を持った。」
NO.4レイズナーはそう言う。
「魔王には憎しみが足りていないのだ。憎んでいるもの。そう、討伐隊の記憶だ。彼女は魔王の覚えている討伐隊員を実体化したものだ。」
「つまり、彼女が死なない限りは魔王は蘇ることができないだろう。如何なさいますかゼロス様。」
「始末せよ。彼女が魔王復活の枷になっているならば、彼女は害悪以外の何者でもない。」
「承知しました。」
~days356~
今日も任務だ、フレンはいつものように魔物の討伐に出かける。
今日は大型を一人…?
いつもだと二人以上なのに、と考えていた。
まあ、そういう日もある。とフレンは任務に出た。
そのフィールドにて散策していたフレンは意外なものと出会う。
「避けて!」
「!?」
「マーフィ!?」
「のスタンドか!」
フレンはスタンドを出して構える
──マーフィのスタンドを倒したフレン。
本体、いやマーフィはなんと、スタンドに取り込まれていた。
そして今、消えようとしていた。
マーフィがスタンド、いや虚像と呼ぶべき物質を出せたのは、マーフィの製作者であるレイズナーの設計だったのだ。
そのスタンドの隠された能力、それは本体との一体化であった。
スタンドは、ふつう本体の意思に沿うもの。
だがマーフィの場合は違った。レイズナーの命令に沿うものだった。
レイズナーはそう設計していた。そして普通のスタンドに見せかけるよう。マーフィの意思に従うという命令を出していたのだ。
「そ…そんな…」
「いや…薄々気づいてた。マーフィはスタンドの中に取り込まれてるって。怖かった…名前を呼んで返事がこなかったらどうしようって。」
「ねぇ…フレン…。あなたはいま怖かったって言ったの?怖かったって。」
「俺も同じことを考えてた。何で怖かったのかって。」
「それは、きっと君に心があるからだよ。」
「俺に…心が…?」
次の瞬間、マーフィの体は天に昇るかのように光を発した。
フレンは一瞬で理解した。
「ハッ!? 消えちゃダメだマーフィ!」
"ケアルガ"
"ケアルガ"
"ケアルガ"
"ケアルガ"
"ケアルガ"
"ケアルガ"
"ケアルガ"
魔法はかける対象がいないと自分にかかる。
フレンは、そのことがわかっていながらも受け入れられなかった。
「どういう事だ!ナメやがってクソッ!クソッ!!」
彼女は最期の力を振り絞り足首を掴み首を左右に振る。
そして、まるで元からなかったかのように、塵のようにサッと消え去った。
彼は暫く呆然としていた。
考えるのをやめていた。
~days357~
フレンは夜になるまで考えこんでいた。
まるで石像にでもなったかのように動かなかった。
(……俺は…どうすればいいんだ?誘われるがままに機関に入ったけど、俺は結局意味など得られなかった。得られたのは…孤独感だけ…。俺って、なんで機関にいるんだ?俺って、何者なんだ?)
俺はあのアイスのあたり棒を見て考える。
(いや、きっと…動かないと解らないんだ。同じ景色しか見えないんだ…。動かなきゃ…何一つ変わらないんだッ!!)
俺はそうして、機関を脱走した。
──「お前は、機関か?」
「誰だ!?」
「闇の住人さ。」
白髪の目隠しをしたそいつはそう言った。
「まさか、お前はマーフィを打ち負かせた! 何で機関を装うんだ!?」
「マーフィと同じことを言うんだな、「フレン」。」
「何をしに来た?」
「簡潔に言おう、フレン…君を…始末しにきた。君の親の安心の為にな。」
「何?」
「君の親は…国王だ。国王が私を助けてくれた。恩は返さねばならない。記憶がないとしても君を連れて帰る…!」
「いや、例え俺の親が心配していようと…俺は帰る別けにはいかないんだッ!!」
──「くぅッ!」
「何度かかってこようと俺の勝ちだッ!!」
「だろうな…あれをやるしかない…か。」
「俺の心に秘められし力を…再び俺の身にッ!!」
「何ッ?」
「おおおおおおっ!」
突然、彼は黒いオーラに包まれた。
彼はフレンの首を締め上げ、窒息させようとしている
フレンの意識が絶える。
フレン──完全敗北。
~days358~
「フレンが消えたな…」
「ゼロス様、全討伐隊員の居場所がつかめました。」
NO.7アイザは言う。
「手紙を送れ…あの場所に集まるように誘導して…な。」
「承知致しました。」
この後、この手紙により彼ら魔王討伐隊はまた集う。
まさに魔王により絡み合った運命。
──こうして、新たなる冒険譚は幕をあける。
─THE END─