いまだに平和憲法()が日本の平和を守ってきたと勘違いしている連中が多い
何故だろう?現実から目を背けてはいないか?
日本が安価な平和を謳っていれば、外国の連中が日本を尊敬するとでも?
そんなことはない。
「平和憲法が日本の平和を守ってきた」
これは一概に勘違いや間違いとは言えない。
敗戦後、日本は米国に占領され、武装解除されたうえで周知のごとく米国の作った憲法が制定された。戦争放棄も米国に「押しつけられた」ものである。そして米国が朝鮮戦争に介入するにいたり、サンフランシスコ平和条約、日米安保条約が結ばれ、自衛隊の前身である警察予備隊が作られた。
日本は憲法の制約によって戦争を行うことができない(具体的に何が出来、何が出来ないかという解釈は時代とともに変遷したが)。仮に日本が戦争放棄していなければ、米国の命令で日本も朝鮮戦争に介入しなければならなかっただろう。実は日本も機雷除去という活動で介入しているが、平和憲法がなければ更なる大規模介入を要求され、多大な被害を被ったはずだ。
しかし日本は「戦争ができない」ことにより朝鮮戦争に巻き込まれることを避けられたばかりか、米軍が物資を日本から購入したため特需景気が起き、戦後の経済成長の基となった。
その後も、日本は米国主導の「西側」陣営の一員であったが、米国がベトナムや中東等で繰り広げた戦争に直接参加することを免れた。その理由は、「日本には憲法の制約があって戦争ができない。そしてそのような憲法を作ったのは米国である」という論法で、作った張本人である米国は日本に戦争を無理強いできず、おかげで戦争を避け続けることができた。
戦争をする前提があれば軍備を整えなければならず、莫大な費用を要する。安保条約のおかげで、日本はGNP比1%という小さな防衛費で済み、経済発展に注力することができた。一方、副作用として日本の安保は完全に米国依存になり、米国の装備を押し売られ、自国の軍需産業や技術の発展が阻害されてきた面ももつ。
米国に押しつけられた平和憲法を楯に戦争を避け続けることが出来たことで、自衛隊に被害がなかったばかりか中東等の反米諸国からも特に恨まれることがなく、日本にテロが少ないという恩恵を受けたという面では、まさに「平和憲法が日本の平和を守ってきた」。同時に、日本がソ連など軍事大国の侵攻を受けることがなかったのは、平和憲法ではなく「安保条約」による効果である。日本の平和を守ったのは「憲法ではなく安保条約だ」と右派の人々は言うが、「憲法と安保」の双方が守ったのであり、当然にして憲法と安保は成立過程からして密接に関連している。
平和平和と呪文のように唱えて武力を持たないことが平和になる、という単純思考は非現実的だが、日本の平和は憲法と安保の双方を活用した外交によって保たれてきた。ただし、米国が防衛支出の大きさに疲弊し、「世界の警察」から手を引く方向にある以上、日本は防衛力をいつまでも安保条約に依存することはできない。自前の防衛力を強化する必要に迫られている。そうなると平和憲法は足かせとなるので、改正する必要があるだろう。
戦後数十年にわたって、平和憲法は確かに日本の平和に貢献してきた。しかし時代が変わった今、そして今後は、それでは守れないというのが現実だろう。
喧嘩だけでなく議論でも一線から身を引いたつもりだったのに話題が安全保障問題になると口を出したくなる性だなあ。