上記のような例では、一応の答えは簡単に導くことができる。
おっさんも強気であり、DQNも強気である。
おっさんが店長にねじ込めば、DQNは解雇されたかもしれない。
しかし、DQNは「慶応だし就活勝ち組だしあのおっさんよりは出世できる」という信念をもっており、解雇されてもどうということはないのだ。
従って、この勝負そのものをはじめから放棄することが可能であり、それ故に超越的な強さをもつに至った。
一方のおっさんは、客という強い立場にありながら、この勝負を捨てることができない。自分が始めた勝負でありメンツがあるからだ。
他方で、この勝負の「外」のことについては何ら確信がもてない。勝負に勝ったところで、得るものは一瞬の優越感であり、勝負に勝つために一線を越えてしまえば、警察力が発動してしまう。
こうした「背景」の力が一瞬にして勝敗を決めてしまったのだ。