平成喧嘩塾の衆人はどこいったん?

128、《短小tinko》
2019-01-12 19:43:42
ID:qwmJsiRo(sage)

 春は曙(あけぼの)、やうやう白くなりゆく、山際(やまぎは)すこし明かりて、紫だちたる雲の細く棚引きたる。

 夏は夜(よる)、月の頃はさらなり、闇もなほ蛍飛びちがひたる、雨などの降るさへをかし。

 秋は夕ぐれ、夕日はなやかにさして、山際いと近くなりたるに、烏(からす)の寝どころへゆくとて、三つ四つ二つなンど飛びゆくさへあはれなり。まいて雁などの連(つら)ねたるが、いとちひさく見ゆる、いとをかし。日入り果てて、風の音(おと)、虫の音(ね)なンど、いとあはれなり。

 冬は雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜なンどのいと白く、またさらでもいと寒き。火なンど急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもてゆけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひをけ)の火も、白き灰がちになりぬるはわろし。15 


二 頃(ころ)は、正月(しやうぐわつ)、三月、四五月(しごぐわつ)、七月、八九月(はつくぐわつ)、十月、十二月、すべてをりにつけつつ、一年(ひととせ)ながらをかし。16 


三 正月(むつき)一日(ついたち)は、まいて空の景色(けしき)うらうらと珍(めづら)しく、霞(かすみ)こめたるに、世にあるとある人は、姿容(すがたかたち)心ことにつくろひ、君をも我身をも祝ひなンどしたるさま、殊(こと)にをかし。

 七日(なぬか)は、雪間(ゆきま)の若菜(わかな)青(あを)やかに摘(つ)み出(い)でつつ、例(れい)は、さしも、さる物目近(めぢか)からぬ所(=高貴な所)に、持てさわぎ、白馬(あをむま)見んとて、里人は車清(きよ)げにしたてて見にゆく。中の御門(みかど=待賢門)の戸閾(とじきみ=敷居)引き入るる程(ほど)、頭(かしら)ども一所(ひとところ)にまろびあひて、指櫛(さしぐし)も落ち、用意(ようい)せねば折れなンどして、笑ふもまたをかし。左衛門(さゑもん)の陣(ぢん)などに、殿上人あまた立ちなンどして、舎人(とねり)の馬どもをとりて(イ弓ども取りて馬ども)驚(おどろ)かして笑ふを、僅(はつか)に(=私たちが)見入れたれば、立蔀(たてじとみ)などの見ゆるに、主殿司(とのもりづかさ)、女官(によくわん)などの、行(ゆ)きちがひたるこそをかしけれ。いかばかりなる人、九重(ここのへ)をかく立ち馴らすらんなど思ひやらるる。内(うち)にも見るはいと狭(せば)きほどにて、舎人(とねり)が顔(かほ)の衣(きぬ=肌)もあらはれ、白き物(=おしろい)の行きつかぬ所は、真(まこと)に黒き庭に雪のむら消(ぎ)えたる心地して、いと見ぐるし。馬のあがり騒ぎたるも恐ろしく覚ゆれば、引き入られてよくも見やられず

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