分かる?

25◆en0u1zBZkA
2022-04-03 22:36:48
ID:d42TqINM

このスレを元にして短編小説書いた。駄文だけど読んでくれると嬉しい。
ワイからの喧嘩民へのメッセージです↓



ワイの名はやきう。今年の4月から新入社員だ。これまで紆余曲折あって、ようやく就職できた。

 ワイは日本でトップクラスの偏差値を持つことで名高いなんJ大学に通っていた。このまま卒業できれば就職は上手くいくこと間違いなしと思っていたが、ワイは大学2年生で大学を中退してしまったのだ。
 ワイには当時、友達のような奴がいた。彼の名は原住民。彼はワイよりも学歴が低い大学の生徒で、彼と接するのは楽だった。優しい奴でよく家に呼んでくれた。
 ある時ワイは親と大喧嘩になり、故郷からの仕送りを止められてしまった。ワイはこのままでは飢え死にしてしまうと思い、原住民の家に居候することになった。原住民は実家から大学に通っていた。経済面で息子を一人暮らしさせることはできなかったようだ。そんな家庭にワイが居候することになったから生活は困窮してしまった。それでも彼の家族はワイに温かく接してくれた。
 そういった生活を送って1年が過ぎたある日、ワイの両親が原住民の家に突然やって来た。両親はワイが原住民の家に居候しているということをいつの間にか知っていたらしく、「いますぐ家のやきうを帰郷させます。迷惑をかけさせて大変申し訳ございません」と平謝りし、ワイは大学を中退し帰郷させられることになってしまった。
 帰郷する日、ワイは原住民に言った。
 「本当にお前にはすまないことをした。いつか必ずあの時の分の金を返す。絶対だからな!」
 その時愚かにもワイは原住民の至極悲しそうな顔に気付かなかった。
 帰郷した俺は職を転転としながら金を貯めた。しかしあの時の金は返せそうになかった。そう思うたびにワイが彼の家族に対してしてしまったことの重みを知った。親は勿論料理も洗濯も何もしてくれなかった。いつか原住民に恩返ししようというなんとなくの目標があるだけで、希望も何も感じられなかった。他者とのコミュニケーションに著しく困難があるワイにとって接客は難しく、何度も上司に罵られた。孤独で仕方なかった。あの時にワイが使ったお金を計算して人の有難みを思えば、孤独が薄れると思っていた。愚かだった。

 金は返せた。三年かかった。ワイは大事に封筒に入れた金を原住民と彼の母に手渡した。彼の母は驚いた表情で、
 「よくも三年もずっとこのお金のために頑張ってくれたものね。感謝の気持ちだけでも十分だったのに。」
 ワイは褒められているのだと思った。
 その後原住民と二人きりになった時ふと、彼は言った。
 「さっきの母ちゃんの言葉の意味分かるか?」
 「えっ・・・?」
 ワイは言った。
 「感謝の言葉で十分だったんだよ。お前はその言葉さえ言おうとしなかった。お前がしていたのは金の話だけだ。お前はいつもそうだった。なんでもかんでも数字に拘って、数字なんて自己満足なんだよ。」
 その時の言葉はかなりの衝撃だった。その時初めてワイは己の過ちに気付いて茫然とした。A+Bと人の心は天秤にかけられない。かける権利なんて誰にもなかったのだ。

 ワイはその後、なんとか就職ができた。それは食品の流通を手掛ける会社だった。小さな会社だったがかなりやり手であった。ワイは営業担当になった。
 入社してある日のこと、ワイはいたずらっ子のような眼をした社長に呼ばれた。社長は言った。
 「君はいい大学出身のようだね。だからこの質問の意味も分かるんじゃないかと思う。」
 そういってワイに過去のメールのやり取りを見せてくれた。

そういえば先日新入社員にとある問題を出しました。

1つ100円のリンゴを110円で売りました。しかしその後130円で売れるとわかり
120円で買い戻し130円で売りました。結果20円得したが商売としてはマイナスである。それはなぜか?
というものです。

新入社員の彼女はよく分かっていない様子でしたね。

 ワイは言った。
 「お客様が食べたくて買ったリンゴを取り上げてしまうなんて、たとえお客様がお金の面で損失がなかったとしても許されてはならないことです。それは商売としてというより、人間としてマイナスです。お客様の信用も失ってしまいます。」
 それを聞いた社長は意地悪そうに笑みをたたえ、
 「君はそういうと思ったよ。全く君は人がいいね。」 
 「でもそれだけじゃダメなんだ。お客様をいくら思いやってところでな。こちらの利益に結びつけられない限りダメなんだよ。
  この話の本質は客の信用を失って客が減り、こちらの利益がマイナスになることなんだよ。君にこれを言っておいて良かった。営業の仕事は誠実さに加え、そういう腹黒さも必要なんだよ。」
 そのときワイは、いままでに感じたことのないくらい複雑で悲しい孤独を感じた。(終わり)
 

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