「喧嘩用語の基礎知識」編集部

81H.R.ギーギー
2022-01-25 16:54:01
ID:3JJ5FZb2(sage)

「キッチンガイ」

「シンジ君、台所に立つ男はモテるぞ」・・・【ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破】における加持リョウジの台詞ですが、これは決して ”料理が上手な男性はモテる” という意味ではありません。正確には ”普段から台所に立っている男性はモテる” という意味です。

「男子厨房に入らず」は、中国の古典『孟子』の「君子遠庖厨」(君子は厨房に近づかない)に由来するそうです。この言葉は、もともとは「君子」つまり徳の高い者は、厨房で家畜が屠殺される姿を見ると、情の心を起こして、料理が食べられなくなるので、近づくべきではないという意味です。つまり、徳の高いものはそれぐらい深い仁愛を有するということです。

これが日本では、武士道に受容されて変化して、「男性は調理のような使用人の仕事をすべきではない」という意味になったとされることが多いようです。しかし実際には、江戸時代までは、料理は武士のたしなみであり、多くの武家でも、料理人は男性が務めるものであり、主人自ら包丁を取って客を持てなすのも珍しくありませんでした。したがって、この言葉が今のような意味で一般的に用いられるようになったのは、明治時代以降、富国強兵策の中で、男女分業が強調されてからのようです。

このように、「古来の日本の伝統」とされることは、しばしば明治時代以降に由来するものなのです。

「・・・それは愛と美との要求が高まって相手が欲しくてたまらなくなるのだが、そんなとき気違いじみたことを考えるものだ。私は上野公園で音楽学校の女生徒をいちいち後をつけて、『僕を愛してくれますか』ときこうかと真面目に思ったことがある。」(倉田百三 「学生と生活」)

「愛」と「美」の要求(愛美)が極まるところで男は「キチガイ」になる。その処方は「台所に立ち続けること」。キチガイアニメ『ヱヴァンゲリヲン』の最終着地点は「キッチンガイ」になることだったのです。

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