みんなでリレー小説しようぜ 2

207せりな◆K96Jk4jthA
2016-12-25 23:31:09
ID:3cuMcoOQ

「歩歩歩!!聞いたか?修学旅行の話」
「ついさっき授業でやってたじゃねえか」
「三人で回ろうぜ!俺と歩とオリ」
「は?」


ピシ、とその場の空気が固まった、昼過ぎの頃。
どうやら歩もオリヴィエも喧嘩は長引かせるほうであったため、あれから二週間経った今日でも、まだ仲直りはしていなかった。

歩はオリヴィエのことを「ここまで巻き込んでおいて都合の悪いことは隠そうとするやつ」と思ってしまった事が発端だ。歩はそういう人間が一番嫌いである。
一方オリヴィエは一般的に言う「口下手」であるため、大切なことを何一つ伝えられなかった事が原因だ。本来魔界には人間にとって毒である瘴気が溢れている。そのため歩の同行を拒否した訳だが、それがどうやら悪いように捉えられてしまった。

つまりお互いがお互いに悪いところはあったのだが、人一倍頑固な二人はなかなかそれを認められなかった。

「お、おい…なんだよ喧嘩でもしたのか?」
「…田中、もうこの話は絶対にするなよ」
「…」


田中はおおかた予想はついていた。田中の得意技は並外れた観察眼である。ついでにひかりからも聞いていた。
歩は年単位で知っているし、オリヴィエも話しているうちにあまり口が上手い方ではないと気付いていた。
しかし、あまり友達ができる性格ではない歩にできた友人なのだ、このままというのはもったいない。

(何よりひかりちゃんに頼まれたからな!)

理由の八割がそれというのは余談である。








「シュウガク旅行、か」
「ああ。数日間他県へ移動するらしい」


オリヴィエとアポピスは、二人でテーブルを囲んでいた。言わずもがな、歩はもう部屋にこもってしまっている。

アポピスは勿論、ふたりの喧嘩に気付いていた。
アポピスはどちらかと言えばオリヴィエ寄りの神であるし、オリヴィエが歩を拒否した目的も知っている。
しかしアポピスは完全に放っておくことにした。この問題は二人で解決すべきだと考えているし、さすがに戦闘に支障が出始めたら手を貸すつもりであるが、たぶん何とかなるだろう、と多少楽観的であった。


オリヴィエと歩がいないのなら、こちらに敵が来ることもないだろう。アポピスは「ほぼ何も知らない」に等しいのだ。突如蘇らせられ、操られ、戦わさせられた。
自身が死ぬ前のことを思い出そうとは思わないが、一度ただ手足を動かす人形と化したのも確かなことだ。
自分をその呪縛から救い出してくれたのもオリヴィエである。そして、行き先のない自分に帰る場所を与えてくれたのは歩だ。
だから、アポピスにとっては、二人には是非とも仲直りしてもらいたい。最も、アポピスにとっては喧嘩する前の二人を知らないのだが。

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