~ここまでのあらすじ~
高校生の那綱 歩は、最近何かとツイておらず、無気力な生活を送っていた。
そんな彼の元に魔界から魔界王子オリヴィエ・ド・ニナータがやって来る。
彼が人間界に来た目的は、人間界の偵察、そして魔界を追放された魔物たちの討伐であった。
また、そこで歩は、自分にも魔族の血が流れていることを知る。
最初はそれを受け入れることができなかった歩だが、クラスメイトの橘 ひかりを魔物から救出し、
翌日に現れた魔物も倒した経験を経て、魔物と戦うことが、自分の使命なのだと悟る。
歩はオリヴィエと共に、襲い来る魔物たちと戦うことになる···
~注意~
・誰でも書いていただいて構いませんが、作品の世界観を著しく壊すような文章はご遠慮ください
~ここまでの登場人物~
那綱 歩...主人公。高校生。至って普通の人間だが、少し魔王一族の血が流れている。
魔界の王子オリヴィエと同居し、魔物たちと戦うことになる。
中学生の頃までは陸上競技をしていたが、膝を怪我して辞めてしまった。
オリヴィエ・ド・ニナータ...もう1人の主人公。魔界の王子。
人間界の偵察と、魔界を追放された魔物を討伐するためにやって来た。
歩と同居し、共に戦うことになる。
焼きそばパンが好物。
橘 ひかり...ヒロイン。ボブヘアー。歩、オリヴィエと同じ高校に通うクラスメイト。
その明るい性格と可愛らしい容姿で男女問わず人気がある。
高校の帰り道に魔物に襲われるが、歩とオリヴィエに助けられた。
アルフ・ド・ニナータ(死亡)...オリヴィエの父親。魔王。
オリヴィエを人間界に送り出した張本人。
歩ともかなり遠いが血縁関係がある。
田中...歩、オリヴィエのクラスメイトで、歩の親友。
見た目と言葉遣いがいかにも不良といった感じだが、根は良いヤツ。
秋山先生...歩、オリヴィエのクラスの担任。教科は現代文。
「素晴らしい」が口癖で、キャラがかなりずれている。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%87%B6
Wikipediaさん
「うおおっ?!」
窓ガラスが盛大に割れる音がした。
結局あの後寝落ちしたアポピスとオリヴィエも飛び起き、周囲を見渡した。
「あっ!あの、えっと。おじゃまするアル」
「…うわあ」
そいつは眼鏡をかけた女で、デカイ羽を生やしていた。
「ほえー、ここが人間の住居アルか!面白いアル」
「ちょっ、おいコラ!羽をたため!コップが」
ばりーん、と落ちた。
「ああ!すみません!と、どうしよ」
「……面、出ようぜ」
「へっ、はいぃ…」
オリヴィエは数秒後呆然とした後、慌てて歩を追いかける。アポピスも後に続いた。
「まず、自己紹介から始めようか」
先程突然窓ガラスをぶち破って登場してきた女に、俺は若干苛つきながら問いかけた。
「きゅ···窮奇···」
女が俯きながら答える。
「オリヴィエ。お前こいつの事は知ってるのか」
「名は知っている。確か翼の生えた虎のような姿だった筈だ」
「そうそう!!良く知ってるアルね!!」
女が先程と一転して嬉しそうにはしゃぐ。あぁ、こいつも魔物の類いなのか。
「で、窮奇さん。今日は何の用で人間界に来たんですか?」
苛ついた気持ちを抑えながら、出来るだけ丁寧に話しかける。
こんなにド派手に登場しやがったんだ。
まさか、オリヴィエの命を狙いに来た訳ではあるまい。
きっと何か他の用件があるんだろう。
「私、君達殺しに来たネ。君達殺して、世界滅ぼすアルヨ。」
とんだ馬鹿野郎が来てしまった。
アポピス
「なぞなぞ~」
オリヴィエ
「!?」
アポピス
「パンはパンでも食べられないものはなんだっ」
オリヴィエ
「え~、フライパン?」
アポピス
「ちゃう」
オリヴィエ
「パンツ?」
アポピス
「正解は昨日私が一口かじったパンでした」
オリヴィエ
「・・・」
「えーっと殺しに来たって事は···戦わないといけないのかな?」
全く予想していなかったので、思わず情けないことを口走ってしまう。
「うむ」
オリヴィエが冷たい目で俺を見ながら答える。
「まぁ仕方ないか···よし、オリヴィエ・ド・ニナータ!!契約に」
「断る」
「えぇ!?」
何故かオリヴィエが戦闘を拒否し始めた。突然の反抗期なんだろうか。
「何でだよ!!」
「今日は何となく気分が乗らん」
「お前命狙われてるんだぞ!?分かってる!?」
「おい、少年」
オリヴィエとの言い争いを遮るように低い声が響く。
「アポピス!」
「良いだろう、私がこの女の相手をしてやる」
アポピスはそう言うと、持っていた金色の杖を剣へと変えた。
「本当に良いのか?」
「あぁ、構わない。それにオリヴィエには魔界での借りがある」
アポピスはそう言って、剣先を窮奇へと向けた。
「さぁ、私を殺せ」
アポピスが光る剣先を窮奇へ向ける。
奴は暫くそれを呆然と眺めていたが、やがて目付きが鋭いものへと変わった。
「ははは!!面白い芸アル!!でも、すぐにお前を血塗れにしてやるネ」
「それは、こちとて同じことだ」
アポピスが疾風の如く斬りかかった。
窮奇はそれを軽くかわして、アポピスの喉元へ突き入る。
しかし、奴の手刀はアポピスの手の中にあった。
「甘いな。その程度の動きで私の命を奪えると思っているのか」
「ふん!!ほざいてられるのも今のうちネ」
窮奇はアポピスの手から自分の手を引き抜き、後ろへ跳んで間合いをとった。
「今のは準備運動ネ。ここからが本番アルヨ」
奴はそう言うと、両手を前へと伸ばし、何やら呪文のようなものを唱え始めた。
「肉体強化か。そんな子供騙しでは私は倒せない」
「ふふ···まあ見てろネ」
「さあみんな!集まるネ!」
突如、近くの塀や物陰から3人飛び出してきた。
「渾沌(こんとん)!」
「饕餮(とうてつ)!」
「檮杌(とうこつ)…!」
「そしてリーダーの窮奇!4人揃って…」
「「「「四凶特選隊!!」」」」
ひゅう、と冷たい風が吹いた。
「今のって…」
「ギ〇ュー特選隊だな」
「お前いつの間にドラ〇ンボール読んだんだ!てかアレ何なのあれ。意味不明だし1人足りないし」
バッチリポーズを決めた4人は、それぞれ動き出す。
動物の仮面を付けているようだ。百均とかに売ってそうな、子供受けするような動物の仮面。窮奇は虎の仮面を付けると、バッと翼を広げた。
「1人足りないっていうツッコミは聞き飽きたアルヨ。故郷に変わっておしおきヨ!」
「セーラー〇ーンか…」
「だからいつの間に見たんだお前は!!」
アポピスが剣を杖に変えて降る。
黒いオーラが噴出し、蛇の形になった。
「アイエエエ!?ヘビ!?ヘビナンデ!?」
「ちょ、饕餮!落ち着くアル!」
「コレが落ち着けるかああ!!てかお前の中国キャラなんなのウザイ!」
「唐突!饕餮なだけに…プッ」
「笑ってるのはお前だけだ」
「…何だろうこれ」
「私にもさっぱりだ」
アポピスが呆れたように溜息を吐いた。
「四凶特撰隊」なるものが現れてから、何とも言えない空気が流れ続けている。
もう限界だ。俺はこういう明らかにスベッている空気は耐えられない。
「···少年。こんな時どうすれば良いのだろう」
アポピスがお手上げというような仕草をしながら俺に助けを求める。
「···笑えば良いと思うよ」
俺も場の空気に呑まれて意味不明な返答をしてしまう。
「それはエヴァン○リオンか」
「おお!!よく分かったなぁ」
珍しくオリヴィエがフォローしてくれた。
「アポピス、とりあえずあいつら倒しちゃって」
「了解した。」
アポピスが四凶特撰隊へ斬りかかった。
もうその後は知らない。倒したんじゃないの?俺は知らない。
「…ふふふ、戦いには負けたケド、向こうとの糸は切れたアル」
「ゲホッ、ああクソ、あの蛇野郎ゼッテー許さねえ」
「残り2人は死んじまったみたいアル、あとは2人で生きてくしかないネ」
「…お前、裏切る気か?」
「むしろそれしか無いアル。これが狙いだったネ、あんさんの糸も切っといてやったアルネ」
「そりゃどーも。」
「これが、海アルカ」
「…結構きれーなんだな、もっと汚いかと」
「あとアニメももっとみたいネ」
「…まあ、あのナントカボール?ってやつは面白かった」
「また見るネー!今の私たちはただの人間アル、また向こうに見つかったらタダですまないネ」
「どーやって暮らすんだよ…」
「問題なしアル。ちょちょいのちょいネ」
会話文のみの手抜き文章申し訳ないです
http://jeison.biz/casphy/bbs/read.php?cate=novel&mode=thread&no=583&res=n50
準備スレ立てました。
「歩歩歩!!聞いたか?修学旅行の話」
「ついさっき授業でやってたじゃねえか」
「三人で回ろうぜ!俺と歩とオリ」
「は?」
ピシ、とその場の空気が固まった、昼過ぎの頃。
どうやら歩もオリヴィエも喧嘩は長引かせるほうであったため、あれから二週間経った今日でも、まだ仲直りはしていなかった。
歩はオリヴィエのことを「ここまで巻き込んでおいて都合の悪いことは隠そうとするやつ」と思ってしまった事が発端だ。歩はそういう人間が一番嫌いである。
一方オリヴィエは一般的に言う「口下手」であるため、大切なことを何一つ伝えられなかった事が原因だ。本来魔界には人間にとって毒である瘴気が溢れている。そのため歩の同行を拒否した訳だが、それがどうやら悪いように捉えられてしまった。
つまりお互いがお互いに悪いところはあったのだが、人一倍頑固な二人はなかなかそれを認められなかった。
「お、おい…なんだよ喧嘩でもしたのか?」
「…田中、もうこの話は絶対にするなよ」
「…」
田中はおおかた予想はついていた。田中の得意技は並外れた観察眼である。ついでにひかりからも聞いていた。
歩は年単位で知っているし、オリヴィエも話しているうちにあまり口が上手い方ではないと気付いていた。
しかし、あまり友達ができる性格ではない歩にできた友人なのだ、このままというのはもったいない。
(何よりひかりちゃんに頼まれたからな!)
理由の八割がそれというのは余談である。
「シュウガク旅行、か」
「ああ。数日間他県へ移動するらしい」
オリヴィエとアポピスは、二人でテーブルを囲んでいた。言わずもがな、歩はもう部屋にこもってしまっている。
アポピスは勿論、ふたりの喧嘩に気付いていた。
アポピスはどちらかと言えばオリヴィエ寄りの神であるし、オリヴィエが歩を拒否した目的も知っている。
しかしアポピスは完全に放っておくことにした。この問題は二人で解決すべきだと考えているし、さすがに戦闘に支障が出始めたら手を貸すつもりであるが、たぶん何とかなるだろう、と多少楽観的であった。
オリヴィエと歩がいないのなら、こちらに敵が来ることもないだろう。アポピスは「ほぼ何も知らない」に等しいのだ。突如蘇らせられ、操られ、戦わさせられた。
自身が死ぬ前のことを思い出そうとは思わないが、一度ただ手足を動かす人形と化したのも確かなことだ。
自分をその呪縛から救い出してくれたのもオリヴィエである。そして、行き先のない自分に帰る場所を与えてくれたのは歩だ。
だから、アポピスにとっては、二人には是非とも仲直りしてもらいたい。最も、アポピスにとっては喧嘩する前の二人を知らないのだが。
「ったく、何が修学旅行だよ」
俺はベッドの上で、大きな溜め息を吐いた。
本当なら楽しいイベントだったのだろうが、色々事情があり全く楽しみを感じない。
ここ2週間、アイツとは一切口を聞いていない。
まさか、あんな自分勝手な奴だとは思わなかった。
ここまで俺を巻き込んでおいて、何様のつもりだよ!!
あぁ、考えるだけで腹が立つ。
「···しおりでも見とくか···」
ゆっくりと起き上がり、鞄の中のファイルからしおりを取り出し、いそいそと机へ向かう。
机の上にしおりを広げ、ペンを持った。
「行き先は大阪か····」
去年の先輩らは豪華にオーストラリアへ行ったそうだ。
が、その時に頑張り過ぎてしまい今年の予算があまり残らなかったらしい。
そのせいで俺たちの行き先は国内になってしまった。
「まぁ女子があそこまで反発するのも無理ないよなぁ···」
今日のホームルームでの修学旅行の説明は大荒れだった。
行き先が大阪と発表された瞬間、一気にブーイングが飛び、
女子は不満気な顔をして何故去年とここまで違うのかを先生に問い詰め、
男子は怒りを抑えられず机をひっくり返したり椅子を投げたり大変だった。
窓ガラスも1枚割れた。
挙げ句の果てに高校のホームルームで校長、教頭が召喚されるという異例の事態になった。
危うく俺たちのクラスだけ修学旅行に連れていってもらえなさそうになったが、
学級委員の必死の謝罪によってそれは免れた。
「あそこまでやるほどの事じゃないだろ···」
あの光景を思い出し、苦笑しながら次のページを捲った。
次のページには、大阪の観光名所マップと、観光の際のグループについての説明が記載されていた。
「おーっ···大阪って通天閣と大阪城だけじゃないんだな」
生まれてこの方大阪に行ったことがなかったので、
勝手なイメージで観光する場所と言えば通天閣と大阪城だけだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
「この道頓堀ってのは···あぁ、グリコの看板があるとこだな。この天保山ってのは日本一低い山なのか···えっ?標高4.23mしかないの?」
こうしてマップに記載された名所の説明を読むだけでも結構面白い。
これも旅行の醍醐味と言えるだろう。
「おー、何か面白そうだなぁ」
正直俺も修学旅行の行き先が大阪であることが不満だったが、そうでもなくなってきた。
「それじゃ、行ってくる」
「ああ、忘れ物は無いな?
家の管理なら任せておけ。家事炊事完璧だ」
朝、まだ冷たい空気が肌を刺す。
集合場所は学校前だ。そこからバス、新幹線と、乗り換えて大阪へ向かう。
「おい、オリヴィエ。ハンカチ」
「…ああ」
そこからの会話は無かった。気まずい雰囲気が、何となく歩幅を小さくさせている。ような気がする。
歩は、これもあと2時間近くの辛抱だ、と気持ちを切り替えた。バスには30分近く、新幹線からは1時間半はかかるが、オリヴィエとの席は離しておいた。因みに、オリヴィエの周囲は女子ばかりである。歩はひそかにざまあみろと思った。
「おはよう、クラスメイトの皆様。今日は実に素晴らしい朝だろう?あともう少し太陽が顔を出してくれればとても素晴らしい朝になったのだが、ゴホン!今委員長から早くしろのサインが出てね。私の素晴らしいスピーチは中略しよう。
さて諸君!今日は素晴らしい学校行事!一生に3回、いやもしかすると4回あるかもしれない修学旅行だ!
去年とは違って不満たっぷりなクラスメイトもいるだろう。しかし!この私が!ここにいる全員が!この修学旅行を、この学校で、君たちの人生で!最も素晴らしいものにしてみせようではないか!
…本当はまだまだ言いたいことはあるが、長すぎるとうんざりしてしまうだろうからね。この私の素晴らしいスピーチはここで終らせていただこう」
秋山先生がキザっぽく例をする。
全体から拍手が響き渡る。その後、比較的短めな先生方からのお言葉を頂いて、修学旅行はスタートした。
「はあ…」
「おーい歩、ため息なんかついてどうした?」
「…はあ…」
「人の顔見てため息つくなよ、失礼だろー」
田中が口元を尖らせる。お前がやっても全然可愛くない、と言おうとしたが、その代わりにため息を吐いた。さっきからため息しかついていない。
せっかくの修学旅行なのに、全く楽しめていない。再度、ため息をつく。幸せがダダ漏れだ。
「お?俺あっちの方いくわ!」
「あっ…おい田中、」
自由なやつだ。
俺も田中を追いかけようとした、その時だった。
どぅん、と。
空気が大きく揺れる。
「_______!!!!」
とてつもなく高い音が、空気をビリビリと震わせる。頭が割れそうだ。
続いて巨大な影。トカゲのような禍々しい色の巨大生物が、コンクリートを割り、暴れていた。尻尾の炎が、赤く輝いていた。
「なっ…あっちには田中が!!オリヴィエに…っ、」
スマホを取り出そうとして、止めた。今あいつに頼って何になる。
あいつはただの嘘吐きじゃないか。適当な時に適当な言葉を言って、肝心な時には何も告げずにどこかへ消える。
「っ…」
それでも、友達は放っておけない。歩はその巨大トカゲの方へ走り出した。
「あれは…サラマンダー?」
周囲の人間が逃げる中で、オリヴィエはその影を見つめていた。オリヴィエの知る中では、サラマンダーは知能が高く、ああいった風には暴れない筈だ。まるで、何かに悶え苦しんでいるかのような__
ついでに、あんなに大きくない。
「…っち、」
舌打ちをひとつ打って、オリヴィエは走り出した。歩がいない以上、自分だけで何とかするしかない。
「うわっ…!?何だ、目の前でコンクリが」
「田中ぁ!!こっちだ、逃げろ!!」
「お、おい歩!!これ何なんだよ!」
田中にはあの化物が見えていない。
「歩!!」
「オリヴィエ、」
「…、いいか歩!サラマンダーは目が…」
言いかけた途端、歩とオリヴィエの間に尻尾が落ちる。オリヴィエは苦々しい顔で金色のレイピアを構えた。
「こっちだ、サラマンダー!」
オリヴィエがそう叫んだ途端、サラマンダーの爪が、オリヴィエに襲いかかる。
オリヴィエはそれを辛うじて避けたが、左腕に掠った。赤色の血が流れる。
「オリヴィエ!!」
「っ!!歩っ、」
歩の声の方向に、サラマンダーの爪が襲いかかった。オリヴィエは尻尾を飛び越えると、歩の方へ走る。
駄目だ、間に合わない。
ぴた、とサラマンダーの動きが止まる。
サラマンダーはまるで何かに抗うかのように、体を動かし始めた。
「____!!____!!!!」
歩は、オリヴィエの方を見た。左腕から滴る、オリヴィエの血。
もしかして、もしかしなくても、オリヴィエがピンチだ。田中は友人で、親友だ。それと同じように、オリヴィエだって友達だ。十数年生きたた中でできた、数少ない友達。
「オリヴィエ!!オリヴィエ・ド・ニナータ!契約に従え!!」
「!!…了解した!」
オリヴィエが、歩に手を触れる。黒色の炎が歩の足元から吹き出して、渦を巻く。歩の髪は灰色に、片目の色は蒼色に。
『歩』
「ああ、分かってる」
歩の両手から炎が吹き出して、それが剣に形作られる。歩の両手に、身の丈ほどもある大剣が握られた。歩はそれを構える。
サラマンダーが、歩の方を向いた。
「__いくぞ!!」
歩が大剣を振り下ろす。
サラマンダーが咆哮をあげた。