「ったく、何が修学旅行だよ」
俺はベッドの上で、大きな溜め息を吐いた。
本当なら楽しいイベントだったのだろうが、色々事情があり全く楽しみを感じない。
ここ2週間、アイツとは一切口を聞いていない。
まさか、あんな自分勝手な奴だとは思わなかった。
ここまで俺を巻き込んでおいて、何様のつもりだよ!!
あぁ、考えるだけで腹が立つ。
「···しおりでも見とくか···」
ゆっくりと起き上がり、鞄の中のファイルからしおりを取り出し、いそいそと机へ向かう。
机の上にしおりを広げ、ペンを持った。
「行き先は大阪か····」
去年の先輩らは豪華にオーストラリアへ行ったそうだ。
が、その時に頑張り過ぎてしまい今年の予算があまり残らなかったらしい。
そのせいで俺たちの行き先は国内になってしまった。
「まぁ女子があそこまで反発するのも無理ないよなぁ···」
今日のホームルームでの修学旅行の説明は大荒れだった。
行き先が大阪と発表された瞬間、一気にブーイングが飛び、
女子は不満気な顔をして何故去年とここまで違うのかを先生に問い詰め、
男子は怒りを抑えられず机をひっくり返したり椅子を投げたり大変だった。
窓ガラスも1枚割れた。
挙げ句の果てに高校のホームルームで校長、教頭が召喚されるという異例の事態になった。
危うく俺たちのクラスだけ修学旅行に連れていってもらえなさそうになったが、
学級委員の必死の謝罪によってそれは免れた。
「あそこまでやるほどの事じゃないだろ···」
あの光景を思い出し、苦笑しながら次のページを捲った。