~手紙より集まりし者達~Worship of nothingness (連続リレー小説)

19J◆kZDFwAt8do
2016-11-20 00:17:02
ID:dA4kL4oo

俺はただ無心にバイクを走らせていた。ハンドルを捻り、ゴーグルの外側から映る景色を眺めがら。比較的緩やかな山岳を抜け、技術の発展によって整備された砂漠の道を走る。数年前じゃ考えられない光景だ。
秋に突入したというのに夏の国は未だに暖かい。生温い風が俺の機嫌を悪くする。さらに煽ってくる微量の砂がゴーグルを汚していた。甦る地獄の記憶、俺の不安定な心が、横から叩かれてるような気がした。

数時間は走らせただろうか、目の前に見えてくる夏の国の門。単発色のライフルを持った門番達の前に立ち止まり、俺は配達に来たという口実で入国する。こういう時に郵便職というのは便利だ。傭兵だとどうしても不穏な目で見られる。
封筒の裏側に集合場所らしき住所が綴られていた。俺はその文字が示す場所までバイクをゆっくりと走らせた。
本当に夏の国は素晴らしいな。無駄に高い建造物のセンスは理解できないが、目に映る全ての物が高い技術で作られている。見ていてとても面白い。この高度な技術が全世界に普及される事を願うばかりだ。
そんな景色も徐々に曇り始め、雰囲気というか空気が冷たくなってくる。臭いすら感じる。
周りを見ても人が歩いていない、建造物に光は灯っていない。昼間だというのに不気味に薄暗くなっていく。
やがて、電気を帯びた有刺鉄線が張り巡らされたフェンスで隔離された地区に到着した。そう、封筒に書かれていた集合場所とはここの事だ。
魔王が殺された、爆心地。

俺はバイクを止めて複合剣を取り出す。基本となるツヴァイヘンダー、愛称「アリス」を引き抜き、分厚い刀身の「ブレイカー」を下部に合体する。最後に細身の刀身の「ファング」を二本取りだし、上部にアリスの刀身を挟み込む様に複合させる。
通称複合剣。総重量20キロ、全長170cm。まさに何本もの剣が複合して作り出された大剣。
俺はそれを片手で握り、ゆっくりとフェンスの方へ歩み出した。

名前:

メール欄:

内容:


文字色

File: