~手紙より集まりし者達~Worship of nothingness (連続リレー小説)

28コギトエルゴスム
2016-11-20 00:26:28
ID:dA4kL4oo

今日は討伐隊員が集合する日だ。
私は電流の流れるフェンスで囲まれた"爆心地"に来た。
念のために影の世界に身を隠す。

一番先についたのはあの男か…一言で表すとシーカーだ。
探求者というよりは追跡者(ストーカー)だろうか?
気配がまるでない。各宿から集めた記録にも載っていない。
彼も元討伐隊員なのだろうか…?

二番目についたのは大剣を背負う男…。"ジェーナ"
彼は魔兵だろう、目が青いのがそれを象徴している…戦場で無茶して死んでいった私の父さんのように…。

三番目はボブヘアーの彼女。名前は"瑠璃"。
杖を持っているところを見ると魔法使いだろう。
ずいぶんと時間がかかっているが…寄り道でもしたのだろうか?
まあまだ魔物が現れるまで時間はある……

…!?

瑠璃が「Jさん」と呼ぼうとした刹那、影が視界に入る。
…ちょいと驚いたが、実際確かめてみてもう問題ではない。

彼らは元討伐隊員の"ルミナ=ウィリアムズ"と"ハーシー"。
だが彼らは戦死したとこの記録には載っている。
…生還していた、ということにしておこう。

『こんにちは、旅のお方。フェンスに囲まれたこの区域に、何のご用事がおありかな? ……おっと失礼、申し遅れました。私、“元・魔王討伐隊情報伝達員”のルミナ・ウィリアムズと申します。』

瑠璃はごめんなさい覚えてませんでした、という顔を隠しこう言う。
「お久しぶりです! 元討伐隊の瑠璃といいます。よろしくお願いします」

「へー、こんな風になってんだな……。でも、なんでまたフェンスなんてあるんだか。思ったよりも埃っぽいし。」

その会話を横目にハーシーは頭に疑問符を浮かべながら辺りを見回している。

私は指を鳴らすと影の世界から現実世界へ身を移す。

「待ってましたよ、討伐隊の皆さん…。」
「誰だと訊きたそうな顔をされているのでお答えしましょう。私は夏の国復興委員会長、"ファレル・カーライル"…と申します。」
「実はとある依頼と伝言を預かってきたのです。まず、皆さんからの質問があれば、それにお答えしましょう。」

ハーシーがここぞとばかりに言う。
「それじゃあよ、何でここはフェンスで囲まれてんだ?」

「あのフェンスには電流を帯びた有刺鉄線が張り巡らされてありましてね。丁度、今よりも一時間程あとの時間帯になると"魔物"が出没するのです。」
「実は…それらを討伐するのが一つ目の依頼…。」
「…そうですね、ここまで言ったなら"伝言"も伝えておきましょう。そしてこの爆心地の中央に、矢文が届いたのです。

私はその矢文を開いてみせる。
その矢文には

機関員が討伐隊に気づいた。
by 某元討伐隊員より

というとても不穏な内容が記されていた。

名前:

メール欄:

内容:


文字色

File: