「さぁ、さっきの俺の質問を答えろ。」
銃口を此方へ向けた彼は言った。
(彼は元傭兵だ、疑り深いのも仕方のないことだろう。)
「…一つ目、矢の出所についてですが─」
俺は矢を取り出し矢に書いてある文字の部分を指す。
「……この文字は?」
この文字は小さく、紙で隠れていた。そして確認したところ…
「"C.E.S"…私は魔王を倒した討伐隊員は全員把握しています。"C.E.S"…これは頭文字…つまり"コギト・エルゴ・スム"さんのことでは?」
「…ならば、ならばなぜこんな回りくどい真似をする?」
彼は険しい顔をより一層険しくさせて問いかける。
「恐らく…此処には機関も現れたという事例があります。恐らく彼はそれを知っていた。その為でしょう。」
「まだまだ納得はいかないが…良しとしよう。二つ目だ。」
「二つ目、何故魔物を駆逐しなければならないのか…ですね?」
「ああ。」
「我々は一年に渡ってこの爆心地を…あの高台から見ていたのです。」
丁度入り口とは真反対にある高台を指した。
「ですが近頃、魔物達の進化が急激に進み始め、それまで一種しかいなかった魔物が種類を増やし、遂には高台にいる監視員を魔法で射たのです。原因は解っていません。」
彼は少し驚いたような顔を一瞬見せる。
「このままでは、いずれはこのフェンスを破り外に出るでしょう。もし魔法も武術も使えない人民と遭遇してしまったら…」
「…どうかこの願いを聞き入れてもらえませんか?私も助力しましょう。魔物を駆逐し、可能であれば進化の原因を探っていただきたいのです。」