「ふむ、そんなことがあったのですか。魔物……厄介そうですね。いいでしょう、その依頼は受けたほうが良さそうだ。魔物を放置した所で、益があるわけでもないのでしょう?」
「魔物の掃除程度、軍を出せば良いだろう。しかし、報酬を出すというのならばやってやろう。」
私は純粋に疑問だったので
「報酬、とは。」
と口にする。
「その言葉通りの意味だ。お前が俺に依頼する代わりに、相応の報酬を支払って貰おう。それが出来ないのならば俺は帰る。」
念のため、私はダメ元で
「もし駄目と言ったら。」
と一言
「さっき言った通りだ。」
「仲間を置いて自分だけ悠々と帰ると?」
「それがなんだ。」
素早いやり取りだった。彼の目には、声には一点の曇りもない。Jさんにはやるといったらやる…スゴ味がある!
「なんだその態度は、英雄気取りか。」
先ほど口論していたハーシーという男、ボロ布の男だ。短いブロンドの髪を揺らしながら腕を組んで彼を睨む。
「…早く答えろ、会長とやらいう奴。」
俺が眉を潜めたのは嫌悪感からではない。
考えるとき自然とそうなる。癖というヤツだ。
「良いでしょう、相応の報酬は充分に支払います。確実に。」
ゆっくりと答える。
「しかし、私がこう発言したからには貴方も相応の仕事をこなして貰わないと困ります。さもなくば、貴方に報酬を支払う義務など御座いません。」
「貴方?何を言っている。」
やはりそう来た…か。
彼は当たり前のことかのように言う。
「報酬は貴方達に、だろう?」
きっと大丈夫だろう、そう言われるとは思っていたのだ。
俺が頷くと
「決まりですね。」
というペストマスクの男、ルミナ。
隣の瑠璃も、大きく頷く。
彼は護身用のピストルを腰に戻した。
「さてさて、話もついた所で…。」
ハーシーは腕を組みながら歩く。
そして振り向きこういう。
「先頭は誰にするよ?」
「先頭…私の固定観念ですが、近接して戦う人が向いているのでは?」
と言おうとすると謎の二人組が現れる。
彼らの会話を聞くと、敵であり味方、のようだった。
彼らの出現、敵対…はないだろうが彼らとのいざこざが起きないことを願いつつ
皆が意を決するのを見るとフェンスを開ける──