「みんな、今日はありがとう! 私たちはこれからも走り続けるわ! 私たちについてきてくれるかしら!?」
「「「うぉおおお!! ついてくぞー!」」」
「じゃあ、最後に一曲歌うよ! 聞いてね!」
「「イェーイ!」」
こうして、「アナーキー乙女」のライブは終了した。
「ふぅ〜、楽しかったぁ〜」
ライブを終えた後、楽屋に戻った「アナーキー乙女」のメンバーたち。
「お疲れ様です!」
スタッフの一人が、飲み物を持ってくる。
「あら、気が利くわねぇ」
「どうも」
他のメンバーが礼を言う中、隆子は一人黙ってソファに座ると、ペットボトルに入ったお茶を飲み始めた。
「あれ? 隆子さん、何か考え事ですか?」
「えっ? ああ、ごめんなさい。ちょっとボーッとしちゃってたみたい」
「もう、しっかりしてよね」
「すいません」
「まあまあ、いいじゃないですか。そういう時もあると思いますよ」
「そうですよ」
「私なんて、しょっちゅうだから」
「フッ」
「何それ、ウケるんですけど」
メンバーが談笑する。
「……」
その様子を見た隆子は、どこか違和感を覚えた。
(なんだろう。この感じ)