「あっ、そうだ。さっきの話なんだけど」
メンバーの一人が話を切り出す。
「えっと、なんだっけ?」
「ほら、前に言ってたじゃん」
「何を?」
「いや、だから……」
「だから、何よ?」
「あの、その……」
「はっきり言いなさいよ」
「だから、その、隆子さんの胸のことなんですけど」
「私の?」
隆子が首を傾げる。
「はい。やっぱり大きい方が男の人にモテたりするのかなって思って」
隆子は、「ドキッ」とした。
「確かに、男受けは良いかもしれないけど、大きすぎても大変だよ」
別のメンバーが口を挟む。
「そうなんだ。ちなみに、どれくらいの大きさなのか教えてもらえますか?」
隆子は焦った。
「えっ? それは……その……」
隆子は返答に困った。その時、一人のスタッフが声を上げた。
「おい、お前ら。そろそろ撤収の時間だ。早く準備しろ」
「はーい。わかりました。今行きまーす」
「よし、全員行くぞ」
「はーい」
メンバーは荷物をまとめ始める。
「あの、隆子さん。私、先に失礼しますね」
「あっ、うん。わかった」
「では、また明日よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様」
隆子は、メンバーを見送った。
(危なかった……。危うくバレるところだったわ)
安堵の表情を浮かべながら、隆子は思った。