「ワタシ、地球で言う、‘‘お酒``を飲みながら操縦してマシタ」
「地球って・・・まさかあなた、宇宙からやってきたんすか?」
隆子が問うとその人間は「ハイ」とカタゴトで返事した。
「操縦してたんデスケド、途中で寝てしまいマシタ、アッハッハッハー」
宇宙人は陽気に高笑いした。
「いやいやいやいや、アッハッハッハーじゃないわよ。アンタそれ、『飲酒運転』になるでしょ。なーに考えてんのよ!周りどんだけ被害が出てるとでも思ってんのよ!」
「飲酒運転?何デスカ?ソレ?」
宇宙人はヘラヘラしながら貴美に問う。
「何ですかじゃないわよ。アンタ教育受けなかったの!?他の星ならとっくに進んでると思ってたのに――――」
「貴美さん、しっ!」
隆子が貴美を黙らす。理由は、外から物音がし、人の気配があった。
隆子と貴美が中でいる中、外では円盤。その上に、人が乗っていた。茶髪の男と黒髪で角刈りの男の二人組だった。
「おいおいおいおい、なんやこれ」
「UFOちゃう?なんかそれっぽいし、へへへ」
茶髪の男の発言に角刈りの男は未確認飛行物体の可能性があると指摘した。
「UFO?もしかて宇宙人とかおるんちゃうけ?もし発見したら俺らむっさ有名人やで」
「ホンマやで、ハハハッ!」
「うぃーーーーー!!」
二人の不良は盛り上がる。そんな中、UFOの内部にいた隆子と貴美は戸惑っていた。
「どうしよう、このままじゃ全員発見されちゃう!ほんとどうしよう」
「何とかできないんすか?」
隆子が宇宙人に問いかけた。
「できマス」
そう言うと宇宙人はすぐさま操縦席に座り、装置らしきものを触り始めた。
「そこに座席がありマス。急いで座ってくだサイ!そしてベルタ―も」
「ベルタ―?」
「ベルトの事じゃないすか?」
すると二人は座席に座り、そしてベルトも締めた瞬間、ガクンっとなり、浮き上がった。
外にいた二人組の不良も振り落とされてしまい、「あだっ!」「いでっ!」と声を上げる。どんどん浮いていき、そしてビューン!と高速飛行した。
「どこへ向かうつもりなんだろう」
貴美の発言に隆子は「さあ・・・」と返事する。
「お二方、家はどちらデスカ?」
「え?」
「さっき行きすぎました」
「あ、そうデスカ」
宇宙人は逆方向へUターンする。
「着きまシタ」
「え?」
早速降りてみると紛れもなく家の近くだった。
「なんでわかったんすか?」
「実はでスネ、ワタシの愛機には特殊なAIがございましネ、本人の顔を判断し、特定できるんデス」
(ええええええ・・・)
二人は愕然した。
「あの、お名前は?」
「ジートリャデス、ではマタ」
ジートリャはUFOに乗り、どんどん浮き上がり、そして高速飛行しだす。跡形もなく消えていった。
「いやいや、特定って・・・怖くない!?」
「まぁ、怖いっちゃ怖いっすけど・・・大丈夫なんじゃないすか?」
「えぇ・・・、何がよ。後、あたしもう自宅に帰るね」
「あ、おやすみ」
貴美は自宅へ帰った。隆子も早速自宅に戻る。
(ジートリャか・・・。いい名前だね)
隆子は宇宙人の名前を評価した。