一方、その頃、ジートリャは公園にいた。ベンチに座っている。
「ふう、ようやく酔いも覚めてきました。それにしても昨日は危なかったですね・・・」
するとその時だった。
「お姉さん、大丈夫ですか?」
少年の声が聞こえてきた。見ると小学校低学年ぐらいの男の子だった。
「ああ、大丈夫デスヨ。心配してくれてありがとうございマス」
ジートリャは笑顔で答える。
「良かったです。何かあったのかと思って・・・」
「ワタシなら平気デース。それより君の名前は?」
「僕は『ユミ』と言います」
「ユミくんね、よろしくデェース」
ジートリャは立ち上がり握手を求める。ユミはそれに応じた。そして二人は歩き出す。
「あのー、どこへ行くんですか?というよりあなたは何者なんですか?宇宙人とか言ってましたけど」
「フッフッフッ、よくぞ聞いてくれマシタ。実はでスネ、ワタクシ、宇宙船に乗って地球に来たんデスヨ。それで今帰るところデスネ」
それを聞いたユミは唖然とする。
「えぇ!宇宙人!?」
「はい、ソウデスヨ」
「凄いや!本当にいたなんて!」
目を輝かせながら興奮気味になる。その様子にジートリャは微笑む。
「ところで、君はどこに行こうとしてたんですか?」
「あ、僕ですか?お母さんのお見舞いに行くんです」
「なるほど、それは偉いですね。でも一人で行くのは危険ですよ」
「はい、分かってます。だから病院まで送ってくれる人が欲しかったので」
「そうでしたか、では行きましょうか」
そうして二人は病院へ向かった。
病院に着くと、そこにはユミの母親がいた。
「あら、あなたは?」
「私はジートリャといいマース。彼は私の知り合いなのデス」
「そうなのね。わざわざ連れてきてくださってありがとうございます」
母親は頭を下げ礼を言う。
「いえいえ、当然のことデス」
ジートリャは笑顔で答えた。
「じゃあ、僕はこれで失礼します」
そう言って去ろうとするジートリャ。それを遮るように母親が止めた。
そしてこう言った。
―――実は私、末期のガンなんです――――――