AIのべりすと実験スレッド

62名無しさん
2023-04-25 12:23:34
ID:LOD/45ts

半年ほど行方がわからなかった隆子が『女紙』に帰ってきたのは、霧雨の夜だった。

「飲む?」と秀一はきいた。横に座っていた貴美はスッと席をあけた。

「いただきます」隆子が座りながらこたえた。
 
「いったい、半年もどこへ行ってたんだい?」と聞きたい衝動をグッと抑え、秀一は黙ってビールを注文した。
チーママの紗耶香も黙って大瓶とグラスをもってきた。

「半年もの間、どこに行ってたか訊かないの?」
きっとどこかスピリチュアルな場所へいって自分自身と向き合ってきたのだろうと秀一は思った。
「きれいになったね」秀一は微笑んだ。

「これでも?」と隆子はシャツをまくりあげた。
そこには、切腹のためらい傷が無数に刻まれていて、まるでマスクメロンの皮みたいだった。
ギョッとしたのは秀一だけではない。貴美も紗耶香も一言も発することができないでいた。

「これでも、僕のこときれいだと思う?」
「もちろんだよ、でも俺が言っているのは姿形のことじゃない」
「中身?」
「そう、本質の話さ」
「本質って?」
「ほんとうの魂っていうのかな」秀一はコップに残っていた生ぬるいビールを飲み干して誤魔化した。
  
すると隆子はバッグから果物ナイフを取り出して自分の腹に突き立てた。
 
「その魂ってやつがボカァ一番嫌いなんだよ!僕の中で一番ドス黒くて臭い最悪の部分が僕の魂なのさ!」
 
秀一は「おい!」とは言ったが、止める動作はしなかった。そんな余裕はどこにもなかった。
隆子が引き裂いたおのれの腹からは腸の一部とみられるものがブラーンと垂れ下がっていた。
「誰か、誰か救急車!おお神よ…」秀一は泣きながら叫んだが、チーママの紗耶香は吐いていた。
貴美がおしっこをもらしながら救急車を呼んでいるすぐ奥で、ママのカヨ子はタバコを吸いながらうんこをもらしていた。
  
 
 
秀一は『女紙』でたらふく飲んだ。紗耶香やカヨ子が止めるのも聞かず、閉店まで強い酒を飲み続けた。
そしてそのまま隆子が葬られている阿倍野の南霊園に向かった。
都会のド真ん中にもかかわらず広大な敷地を有している南霊園の中を歩いていると、まるでこの世界には墓しか存在しないかのようだった。
秀一は隆子の墓の前で、コンビニで買ったジョニーウォーカーレッドラベルをラッパ飲みした。
「きれいになったね」
なんであんな言葉しか出てこなかったのだろう?
世界にはもっと優しい言葉があるだろう。俺の脳味噌にも少しくらいはそんな言葉があるんじゃないのか。
墓場は静寂の世界だった。外から聞こえるはずの騒音や街の生活音なんかも一切、聞こえなかった。
シーンと静まり返った闇は静けさをおのれ自身に反復し、何重にも折り重ねられた静寂は全くの無音を倍増し、
その響きは、ワンワンワン…と次第に大きくなっていった。
 
「うるせえ!静かにしねえとブチ殺すぞ!!」
 
君ならどうする。

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