~手紙より集まりし者達~Worship of nothingness (連続リレー小説)

42J◆kZDFwAt8do
2016-11-21 01:53:14
ID:Un4uPOl2

>>40

いきなり現れた二つの影、謎の狂気染みた言葉を発言する二人から俺は一旦距離を置いた。

「なんだ、あのあんちゃん二人は。」

俺の隣にいたボロ布の男が呟く。二人とも黒装束に身を包み、肝心の顔面は仮面で隠れていた。
やがてその二人は武器を持ち出す。持ち出すというより空間から抉り取ったように見えた。そのままゆっくりとフェンスの方へ二人は歩み出した。
…一人は聞き覚えのある笑い声を上げながら。

「ククッ…さぁて、お片付けと行きますか。」

瞬間、俺の心に込み上げてくる嫌悪、殺意、苛立ち。こいつの声、こいつは!
二度と忘れなどしない彼奴の声、三度も俺達を襲撃して殺そうとした彼奴の声。

「待て貴様。その声、天月だな?」

俺は複合剣からブレイカーを取り外しながら前をゆっくりと歩む片方の男へ声を掛ける。この言葉に反応したのか、二人とも歩みを止めて、俺が呼び止めた方の男はこちらを振り向いた。
この血に汚れた醜い仮面。やはりこいつは天月だ。

「天月?さぁ、知らないなそんな名前……俺の名前は高杉だ。」

そう返して嘲笑う。

「自分から名前を名乗りあげるなんて随分と間抜けな男だな。何故貴様がここにいるか答えろ。」

俺はこちらをなめてかかる天月に強く返す。すると、そいつは手に持って刀を見せびらかしながら威圧してきた。

「それはさっき言った。お前らには関係ない。雑魚は片隅に怯えていろ。」

「ほざくな、ここで明らかにしてもらうぞ天月よ。貴様ら二人の目的は何なのだ?何度も俺達を殺しに掛かり、この地を爆心地にし、今度は何がしたいんだ?そんなに俺達に干渉して何が満たされるというんだ?」

「…。」

一時の沈黙。
先に口を割ったのは天月だ。

「自分は許されるとでも思っているのか?元傭兵。自分の愛する人を殺しておきながら、今はそうやって悠々と生きて。そういえば、その女の妹を引き取っているんだったな?そいつも殺すのか?」

連続して続く俺への罵倒。そして湧き出る彼への殺意。
俺は無言で天月の方へ駆け出し、ブレイカーを突き刺そうとする。しかし、その刃が当たる寸前に彼は消えた。
俺は背後へ瞬間移動しただろうと予想して渾身の肘打ちを放つが、それも空振りする。

「Jさん!落ち着いて!!」

瑠璃が投げ出したその言葉。完全に逆上した俺の精神はその詞によってやっと正気へ戻って行く。
正に自分を見失っていた。また何もかも投げ出すところだった。しかし、そんな心の静寂もあいつの声によって掻き乱される。

「彼女の言う通りだ……お前はそこでじっとしていろ。」

背後から聞こえる天月の囁き。

「さて、俺達は先に行かせて貰うか。」

俺は振り返ろうとした。
だが、もうそこに彼奴等はいない。

まただ。また彼奴等に全てをぐちゃぐちゃにされる。また俺達は被害を受ける。
そう考えただけでも、俺は今すぐその場に踞りそうになってしまう。

本当に、何がしたいんだ。彼奴等は。

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