~手紙より集まりし者達~Worship of nothingness (連続リレー小説)

53るりるん@瑠璃
2016-11-25 21:29:14
ID:2Vo8KORg

>51
 
 ファレルさんがフェンスを開けた瞬間、中にいた魔物が一斉に襲いかかってきた。まず夢生ちゃん達が攻撃を仕掛け、そこへハーシーさんとルミナさんが勢いよく飛び込んでいく。私も後を追って走り出した。炎(フレイム)魔法を使って、次々と倒していく。だが、数が多くて自分に向かってくるのを倒すので精一杯だった。他の人の方を見る余裕はない。でもそれだと危ない。そう思った私は、地面に倒れこむ寸前の一体の頭を踏んで宙に飛ぶと同時に、振り返って周りの様子を確認する。

 「………ひっ!!」

 思わず声が出てしまい、慌てて口をふさいだ。私のすぐ傍でルミナさんの体に槍が突き刺さっていたのだ。回復を、と駆け寄ろうとした私は、あることに気付いて足を止めた。確かに血は流れているが、表情があまり苦しそうじゃなかったのだ。それはまるで、『作戦通り』とでも言いたげな、そんな顔ーー。次の瞬間、魔物は倒され、ルミナさんの体は元に戻った。

 「おお………って見てる場合じゃないっ……!」

 嫌な気配を感じて思い切り振り返ると、隙だらけだった私に数体迫ってきていた。周りが見えないのが危なかったから体勢を変えたのに、これでは意味がない。慌てて魔物に手をかざした。

 「魔法とか使える誰か!ちょいとアレなの見せちまったが、引かないで援護頼む!魔物を動けなくして__」

 「氷柱(アイス・コルム)!!」

 ルミナさんの声が聞こえるのと同時に叫ぶと、辺りの魔物が凍って動かなくなった。以前まで目くらましにしかすぎなかったこの魔法も、今では自分の意思で凍らせるところまでコントロールできるようになっていたのだ。偶然だったけど、唱えた魔法が要望にあっていてよかった、とそんなことを思った。

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