>>70
ペストマスクを着けた不気味な男は自分の見解を解説するように言葉を発した。先程の黒い服装に身を包んだ者達を取り逃がした事を悔やむ事なく、冷静に自身の意思を言葉に反映させている。
その見解にボロ布の男も言葉を挟んできた。
互いに疑いに疑いを覆い被せるような会話、この場所へ案内してきた水先案内人が考察の的になった所で俺はそれを遮断した。このままではごった煮になってしまって結論が遠ざかってしまう。だから俺は遮断と同時にこの場で組織達の考察を考えるのは危険だと警告した。
落とし穴に入ってることに間違いは無いのだから、だったら人知れず場で考えれば良いとペストマスクの男は単純で明快な提案をし、自分のテレポート能力で連れていってやろうと皆に伝えたのだった。
「そのテレポート能力は、大型の荷物も一緒に運べるのか?」
俺は彼の杖に触れる前に質問した。
「えぇ、問題ありません。常識の範囲内であれば。」
「なら待ってくれ。」
その答えを聞いて、俺はこの隔離区域に入る前に駐車しておいた大型輸送バイクを持ってくる。
手に握っていてる複合剣も分解してバイクに収納すると、俺は片手でハンドルに触れながら彼の杖へ手を置いた。