商品化
マイクロLEDは、高輝度、低遅延、高コントラスト、高彩度、自発光、高効率など、液晶ディスプレイと比較して優れた性能を有している。2016年時点では、技術的および生産上の障壁により、商業化が阻まれている。
2016年現在、基板上に個々のLEDピクセルを組み立てるための様々な技術が活発に研究されている。大型ディスプレイへの応用が期待されているマイクロLEDチップの基板へのチップボンディング、LEDアレイをエッチングで形成した後にICに接合するウェハ製造方法、LEDアレイを基板に転写するための中間仮設薄膜を用いたウェハ製造方法などである。
GloとJasper Display Corporationは、SID Display Week 2017において、世界初となる対角線0.55インチ（1.4cm）のRGB microLEDマイクロディスプレイのデモを行った。Gloは同社のmicroLEDをJasper Displayのバックプレーンに転送した。
ソニーは2012年に55インチ（140cm）で解像度1920×1080の「Crystal LED Display」をデモ製品として発売した。ソニーは、大型ディスプレイの生産に表面実装型LEDを用いた「CLEDIS（Crystal LED Integrated Structure）」ブランドを発表した。2019年8月現在、ソニーはCLEDISを146インチ（3.7m）、182インチ（4.6m）、219インチ（5.6m）のディスプレイで提供している。2019年9月12日、ソニーは、1080p 110インチ（2.8m）から16K 790インチ（20m）のディスプレイまで、Crystal LEDを消費者に提供することを発表した。
サムスンは、CES 2018で「The Wall」と呼ばれる146インチ（3.7m）のmicroLEDディスプレイのデモを行った。2018年7月、サムスンは2019年に4K microLEDテレビを消費者市場に投入する計画を発表した。CES 2019では、サムスンは75インチ（1.9m）の4K microLEDディスプレイと219インチ（5.6m）の6K microLEDディスプレイのデモを行った。6月12日、InfoComm 2019において、サムスンは、2Kの73インチ（1.9m）から8Kの292インチ（7.4m）まで設定可能なThe Wall Luxury microLEDディスプレイのグローバル発売を発表した。2019年10月4日、サムスンはThe Wall Luxury microLEDディスプレイの出荷を開始したことを発表した。
2018年3月、Bloombergは、Appleが約300人のエンジニアをmicroLEDスクリーンの自社開発に充てていると報じた。8月のIFA2018では、LGディスプレイが173インチ（4.4m）のmicroLEDディスプレイのデモを行った。
5月に開催されたSIDの「Display Week 2019」では、TianmaとPlayNitrideが、共同開発した透過率60％以上の7.56インチ（19.2cm）のmicroLEDディスプレイのデモを行った。China Star Optoelectronics Technology（CSoT）は、同じくPlayNitrideと共同開発した透明度約45％の3.3インチ（8.4cm）透明microLEDディスプレイのデモを行った。Plessey Semiconductors Ltdは、Jasper DisplayのCMOSバックプレーンの0.7インチ（18mm）アクティブマトリクス型マイクロLEDディスプレイに接合されたモノリシックなモノクロの青色GaN-on-Siliconウエハを用いて、8μmのピクセルピッチでデモを行った。
5月に開催されたSIDの「Display Week 2019」で、Jade Bird Displayは、720pと1080pのmicroLEDマイクロディスプレイをそれぞれ5μmと2.5μmのピッチでデモし、1平方メートルあたり数百万カンデラの輝度を実現した。2021年、Jade Bird DisplayとVuzixは、スマートグラスやAR（拡張現実）グラス用のmicroLEDベースのプロジェクターを製造するための共同製造契約を締結した。
2019年9月4日に開催された「Touch Taiwan 2019」では、AU Optronicsが12.1インチ（31cm）のmicroLEDディスプレイのデモを行い、microLEDの量産化まで1～2年であることを示した。2019年9月13日のIFA2019では、TCL Corporationが、子会社のChina Star Optoelectronics Technology（CSoT）が製造した最大輝度1,500cd/m2、コントラスト比2,500,000∶1の4K 132インチ（3.4m）microLEDディスプレイを搭載したCinema Wallのデモを行った。