混乱
FSIはタックスヘイブン（租税回避地）に関連してはいるが、それ自体タックスヘイブンのリストではなく、また、現代のタックスヘイブン・リストの作成に用いられている手法とは異なり、実際に回避された税金や移転された利益を推定しようとはしていない。したがって、FSIは、より正確には、金融秘密保護国のリストである。FSIは、タックスヘイブンと多くの類似点を持つ一方で、既成のタックスヘイブン・リストとは大きく異なる結果も出している。

FSIは、米国やドイツのような国・地域が、高税率にもかかわらず（その中の特定のゼロ税率国家を除く）、世界的な金融機密の大きな貢献者であることを示した。しかし、米国やドイツが「タックス・ヘイブン」として政治的に議論されたり、メディアで取り上げられたりすることはほとんどない。FSIは、アイルランド、オランダ、イギリスといった近代的な法人租税回避地は対象としていない。彼らは、OECDに準拠し、高い透明性を維持しているというが、世界最大の税源浸食と利益移転（BEPS）租税回避活動の原因となっている。EUの報告書と英国のCompanies Houseのデータに関する解説は、保有するデータの質が低い場合、透明性と称するものが無意味であることを強調している。

例えば、アップルが2015年第1四半期に行ったアイルランドの「レプラコーン経済学」による税制再編は、史上最大のBEPS取引であったが、アイルランドのデータ保護法のために何年も不明のままであった。問題は、現代のタックスヘイブン（または導管性OFC）が最も好む秘密保持手段である無限責任会社（「ULC」）、信託、特定のSPV構造（アイルランドのQIAIFなど）に対するFSIの採点である。FSIは、これらのツールの所有権（例えば、ULCの所有者が記録されているか）と、ツールの可視性（例えば、ULCが納税しているか）に焦点を当てている。この断絶の例として、EUが2016年にアップル社の2つのアイルランドのULCに対して130億ユーロの制裁金を科したことが物議を醸しています。EUは重大な誤りと虚偽記載を行い、EUがアイルランドで支払うべきであると主張する利益とまったく同じ利益が米国で納税されていたと主張している。

歴史
2年ごとに発表されるFSIは一般メディアや金融メディアで広く報道され、FSIのスコアはEUの報告書にも記載されるようになった。