レプラコーン経済学とは、経済学者ポール・クルーグマンの造語で、アイルランド中央統計局（CSO）が2016年7月12日に発表した2015年アイルランド国民経済計算の再集計で、アイルランドの2015年GDPが26.3％上昇し、後に34.4％に修正されたことを表す。この時点で、税金による会計の流れによるアイルランドの経済データの歪みは頂点に達した。2020年、クルーグマンはこの言葉はすべてのタックスヘイブンの特徴であると述べた。

人為的なアイルランドのGDP成長を引き起こした出来事は2015年第1四半期に発生したが、アイルランドCSOはアイルランドの法律で義務付けられている通り、出所の身元を保護するためにGDPの改定を遅らせ、2016年から2017年にかけて通常の経済データの公表を修正しなければならなかった。2018年第1四半期になって初めて、エコノミストはアップルが出所であることを確認し、これが過去最大の税源浸食と利益移転（BEPS）行為であり、米国企業の最大のハイブリッド税インバージョンであったことを明らかにした。

この出来事は、アイルランドが禁止していたBEPSツール、ダブル・アイリッシュが、より強力な無形資産資本控除（CAIA）ツールに置き換わったことを意味する。アップル社はCAIAツールを使って、2016年8月にEU委員会が130億ユーロの制裁金を課すことになったハイブリッド型ダブル・アイリッシュ・ツールからリストラクチャリングした。アップルによるこの措置の結果、さまざまな学者が、すでに一部では主要なタックスヘイブンであるとされていたアイルランドが世界最大のタックスヘイブンであると計算した。

この「レプラコーン経済学」事件は、その後の影響ももたらした。2016年9月、アイルランドは主要タックスヘイブンの中で初めてG20経済圏のブラジルから「ブラックリスト」に載った。2017年2月、アイルランドはGDPを "修正GNI（またはGNI*）"に置き換えた。(2017年アイルランドのGDPは2017年アイルランドのGNI*の162%、EU-28の2017年GDPはGNIの100%）。2017年12月、米国とEUはアイルランドのBEPSツールに対する対抗措置を導入した。2018年10月、アイルランドは知財のアイルランドからの流出を抑制するため、逆進税を導入した。2018年、OECDはアイルランドの公的債務指標が、債務残高対GDP、債務残高対GNI*、債務残高対国民一人当たりのいずれを用いるかによって劇的に異なることを示し、2019年、IMFはアイルランドの海外直接投資の60％が「幻」であると推定した。