CAIA（Chartered Alternative Investment Analyst：公認オルタナティブ投資アナリスト）とは、CAIA協会が提供する専門資格で、学習コースを修了し、2つの試験に合格した投資の専門家に与えられる。「オルタナティブ投資」業界は、標準的な株式や債券商品以外の資産クラスや投資を扱うことを特徴としている。オルタナティブ投資には、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ、実物資産、コモディティ、ストラクチャード商品などが含まれる。CAIAのカリキュラムは、金融の専門家がオルタナティブ投資に関する幅広い知識を習得することを目的としている。

公認オルタナティブ投資アナリスト協会は、オルタナティブ投資マネジメント協会（AIMA）と国際証券・デリバティブ市場センター（CISDM）によって2002年に設立された。CAIA 協会は、オルタナティブ投資の分野における教育とプロフェッショナリズムに取り組む独立した非営利の世界的組織である。CAIAの指名を受けた者は、CAIA協会の会員資格を維持し、専門的かつ倫理的な基準を遵守することが求められる。2021年現在、12,000人以上のCAIA会員がいる。

ジャーナル・オブ・オルタナティブ・インベストメンツはCAIA協会の公式出版物である。JAIはInstitutional Investor Journalsが発行する9誌のうちの1誌である。

カリキュラム
CAIAプログラムは2つのレベルに分かれている。レベルIのカリキュラムはオルタナティブ投資市場の基礎に重点を置き、レベルIIはオルタナティブ投資の上級トピックに重点を置く。どちらのレベルもグローバルな視点に立ち、倫理と専門家としての行動の問題を取り入れている。受験者は世界のどこからでも試験を受けることができる。

レベルI
CAIAレベルIの試験は、200問の選択問題で構成されている。レベルIのカリキュラムは、以下の6つのトピックをカバーしている。CAIAレベルⅠの受験者は、伝統的なファイナンスと定量分析の基本的な概念について、学部レベルの初歩的な理解を持っていることが前提となる。

レベルⅠのカリキュラムは以下をカバーしている：
職業基準と倫理
基準1：プロフェッショナリズム
基準2：資本市場の誠実さ
基準 3：顧客に対する義務
基準4：雇用主に対する義務
基準5：投資分析、推奨、および行動
基準 6：利益相反
基準7：CFA(CAIA)インスティテュート・メンバーまたはCFA(CAIA)候補者としての責務
オルタナティブ投資入門
オルタナティブ投資とは
オルタナティブ投資を取り巻く環境
定量的基礎
統計的基礎
リスクとパフォーマンスの測定
金融経済学の基礎
ベンチマーキングとパフォーマンスの帰属
アルファ、ベータ、仮説検定
回帰、多変量、非線形手法
実物資産
天然資源と土地
コモディティ・フォワード・プライシング
コモディティ 応用と証拠
運用集約型実物資産
流動性不動産とフィクスト・インカム不動産
不動産エクイティ投資
ヘッジファンド
ヘッジファンド業界の構造
マクロ・ファンドとマネージド・フューチャーズ・ファンド
イベント・ドリブン・ヘッジファンド
レラティブ・バリュー・ヘッジファンド
エクイティ・ヘッジファンド
ファンド・オブ・ヘッジファンズ
プライベート・エクイティ
プライベート・エクイティ入門
プライベート・エクイティの種類
デット型プライベート・エクイティ
ストラクチャード商品
ストラクチャリング入門
信用リスクとクレジット・デリバティブ
信用リスクのCDO組成
エクイティ・リンク型ストラクチャード商品
CAIA 協会は、受験者がレベル I 試験の準備のために 200 時間以上の学習時間を割くことを推奨している。

レベルII
CAIA Level IIの試験は、100問の選択問題と3セットの記述問題で構成される。レベルⅡのカリキュラムは、大きくオルタナティブ投資とコア・トピックと統合トピックの2つのセクションに分かれている。受験者は、レベルIのスキルと知識を応用し、オルタナティ ブ投資の各分野に関わる問題をより深く理解しなければならない。コア・トピックと統合トピックスのテキストは、最新の業界と研究の動向を反映するため、毎年更新される。

レベルIIのカリキュラムは以下をカバーしている：
トピック1 - 新興トピック
トピック2 - 倫理、規制、ESG
トピック3 - モデル
トピック4 - 機関投資家の資産所有者と投資方針
トピック5 - リスクとリスク管理
トピック6 - オルタナティブ投資の手法
トピック7 - オルタナティブ投資へのアクセス
トピック8 - デューデリジェンスと戦略の選択
トピック9 - ボラティリティと複雑な戦略
CAIA協会は、受験者がレベルII試験準備のために200時間以上の学習時間を割くことを推奨している。

過去の合格率
採点は試験期間が終了した時点で開始され、レベルIの結果は最終試験日から3週間以内に掲示される。レベルⅡの試験結果は、小論文問題の採点が必要なため、最終試験日から6週間以内に発表される。

CAIA試験の合格率は試験ごとに変化する。2020年秋現在、CAIAレベルⅠとレベルⅡの両方の試験に連続して初回受験で合格できる受験者は34％未満となっている。

支部
CAIA会員は、プログラムと資格要件を満たすと、支部に入会することができる。アトランタ、ボストン、シカゴ、シンガポール、ロンドン、ロサンゼルスなど、世界中に30のCAIA支部がある。支部の活動には、専門家による教育パネルが含まれ、オルタナティヴの関連問題について候補者と会員を教育するというCAIAの使命が実現されている。