新たな夜明け
2011年7月17日以来、NASAの探査機ドーンは、太陽系で2番目に質量が大きく、3番目に大きい小惑星ベスタを周回している（表紙参照）。Russell et al. (p. 684) は、Dawn の観測から、ベスタが内核を持つ小さな分化した惑星体であり、太陽系形成の最も初期の時代から生き残った原始惑星であることを確認している。Jaumann ら (p. 687) は、全球表面マッピングに基づく小惑星の全体的な形状と地形について報告している。ベスタの表面は、多数の衝突クレーターと赤道付近の大きな谷によって支配されている。Marchi et al. (p. 690) は、ベスタの複雑なクレーターの歴史について報告し、クレーターの数に基づいて、その主要な領域のいくつかの年代を特定している。Schenk ら (p. 694) は、小惑星の南極に位置する二つの巨大な衝突盆地について述べている。どちらの盆地も若く、ヴェスタと似た組成を持つ小惑星のグループであるヴェストイドと HED 隕石を形成するのに十分な量の物質を掘り出した。De Sanctis et al. (p. 697) は、Dawn の可視分光計と赤外分光計によって得られたデータに基づくベスタの鉱物学的特徴付けを発表し、この小惑星が分化した地殻とマントルをもたらした複雑なマグマ進化を経たことを明らかにした。Reddy et al. (p. 700)によって詳述された全球的な色の変化は、これまでに観測された他のどの小惑星とも異なっており、また保存され分化した原始惑星を示している。

概要
Dawn 探査機は、分化した母天体であることを示すハワード岩-ユークライト-ダイオジェナイト（HED）隕石の分析に基づいて、太陽系形成初期からの無傷の原始惑星の残骸と考えられる 4 ベスタをターゲットとした。Dawnの観測により、ヴェスタの南極に巨大な盆地があることが明らかになった。その盆地は、ヴェスタファミリーの小惑星（ヴェストイド）とHED隕石を生成するのに十分な掘削量を持っていた。表面の空間的に分解された鉱物組成はHED隕石の組成を反映しており、コンドライト母天体の融解によってベスタの地殻が形成されたことを裏付けている。ベスタの質量、体積、重力場は、平均半径107～113kmのコアと一致しており、鉄を分離するのに十分な内部融解を示している。Dawnの結果は、ベスタが分化したという予測を裏付け、HEDsの母天体であることを支持している。